2017年6月11日日曜日

誰のための専門知識か、誰のためのマナーか

私達が何か困って他の専門家を選ぶときに、第一印象で選ぶことがありますね。
素人が専門家のレベルを把握するのはとても難しいから、信用できそうとか、頼りになりそうとかの印象に左右されることも多いと思います。
私の経験則で言うと、たまに裏切られることはあるにしても、第一印象は比較的正しいことが多いです。

人それぞれに「第一印象が違う」とは、何が違うのでしょうか。
おそらく、それまでに培ってきた「総合的な人間力」が、表情やしぐさなどの表面に現れることによるものだと思うのです。

では「総合的な人間力」とは何でしょうか。
「知識」や「能力」、「社会的な常識」や「マナー」、「品性」や「徳」を身に付けることでしょうか。
「知識や能力は分かるにしても、それ以外は別の問題ではないか」とおっしゃる方もあるでしょう。「マナー」などと言うと「すかす」「気取る」というような印象を持つ方もあるでしょう。
でも、私は専門家の知識とマナーなどは、実は同じ問題だと思っています。

これらは、何のためにあるかを考えてみましょう。

社会的な常識やマナーが重要なのは、それらが自分の為ではなく周囲の人達の為にあるからです。ここが重要です。
社会的な常識やマナーを持たない人、言い換えれば周囲の方々のことを意識せずに生きている人は、どんなに技術を持っていても専門家として狭い仕事しかできません。
他人の役に立つことは難しいと思います。

また、我々土地家屋調査士などの国家に認められた専門資格者は、「国民の役に立つために存在する」のです。国がその資格者の生活の糧のために資格を作ってくれたのではありません。

他人の為に継続的に専門知識を勉強する、他人の為に一般常識を持つ、他人の為に丁寧に会話をする、他人の為に身なりに気をつける、すべてに渡って常に「他人の為に役に立てることは無いのか」を考えるべきです。
ある一定の資格者は、それらが分からないから事務所の方向性がおかしくなるのです。

私が新人を見るときに、第一印象で「この人は伸びるな」と思う人は、ほぼ間違いなく土地家屋調査士の第一線に行きます。第一印象で大抵分かります。

何かで一流になる人は、おそらく何をやってもできると思います。
仕事をこなすノウハウに加えて、他人を引きつける人間的な魅力があるからです。
他人を引きつける魅力の有る人は、常に他人のことを考えています。会話にもそれがでてきます。この人とお付き合いしたいと思わせるものを持っている人には、お客様も同じ印象を持ちます。意外とそんなことで、お客様が増えるものです。

これから事務所を開業する方にお伝えしたいことがあります。

専門分野の勉強は当たり前として、もっともっと幅広い勉強をして欲しいと思います。
「徳」というものは難しいかも知れないけれど、「一流の専門家」を目指すと同時に「一流の社会人」「一流の大人」を目指して欲しいと思っています。