2017年6月18日日曜日

お散歩しましょう

今日は土地家屋調査士事務所開業を悩んでいる方が相談にいらっしゃいました。
土地家屋調査士試験には合格されていて、今は土地家屋調査士事務所に勤めながら実務の勉強中とのことでした。
仕事をしていてもなかなか実力が付かないということで、このままで開業できるのか迷っているようでした。

その方は、今の自分の環境が良いか悪いかということで悩んでいるようですが、自分で環境を変えたり創ったりする意識が欠けているように私には見えました。

事務所を開業するということは、すべて自分で決断して、自分で責任を負うということです。
だから実力を付けるのも最後は全部自分なのです。どこかの事務所で教えてもらうとしても、それはきっかけやヒントにしかなりません。
退社してからの時間で何を考えて何をするかなのです。

私の事務所で、考え方を少し説明をしてから、その方と事務所の近所を一緒に散歩しました。

道を歩きながら次々に建物を見て、あれはどこまで床面積に入るか、それは何が根拠になるのかを議論してみました。

ここからあの塀まで何メートル有るか目測をしてみました。
その後歩測をして、レーザーで測って答え合わせをしてみました。
歩測のコツも教えました。

土地を見て、どこが境界だと思うか、その根拠は何かを議論してみました。
塀の構造や境界標の設置の方法を考えてみました。

境界を捜す仕事は探偵みたいな仕事です。
現場を見て、筆界についてどれだけ多くの可能性を思いつくことができるかが、土地家屋調査士の腕です。
それらの可能性をひとつずつ潰していって、最終的に真実の境界にたどり着くのです。

だから、たくさん土地を見て、たくさん構造物を見て、たくさん資料を見て、たくさん考える、これが土地家屋調査士の実力を上げる王道です。

土地家屋調査士の実力を上げるために、誰かに教えてもらうのを待っているだけなら、散歩をしましょう。散歩をして土地や建物を見て、一生懸命考えながら歩きましょう。(怪しいと思われたり、怒られたりしない範囲でね)
その際に浮かんだ疑問を、散歩から帰ってから調べたり、先輩に質問すれば良いのです。

意識さえあれば、散歩中でも勉強することはできるのです。