2015年11月12日木曜日

映画にまつわるXについて 西川美和

忙しくてまとまった時間が取りにくいとき、そんな時にじっくり読書は難しいですね。

そんな時は、短編集やエッセイ集などの精々数十ページで完結する内容の書籍を選びます。
ランチの待ち時間とか、ちょっとした移動中の隙間時間に読むことができます。
短編集やエッセイの場合はあまり選ばずに買います。
書店でなんか感性に合いそうだと思うと、とにかく買ってきます。
そして合わないと思った場合はすぐに止めます。
なにしろこのジャンルの本は、ちょっと読んだだけで、この本を買ったのが正解かどうか判断できますので。

それに比べて長編はそうはいきません。
きっとこれから面白くなるはずだと思いながら、長い時間をかけて読み進み、結局つまらない本だったと言うことがあります。

読書は途中で止めても平気です。
本代が勿体無いとは思いません。時間が勿体ないのです。

今回読んだのはこの本、

西川美和 「映画にまつわるXについて」
特に期待せずに失礼ながら移動中の暇つぶしのつもりで手に取りました。

この本の帯、すごいですよ。
「立ち読みして下さい。」
「買うことになりますから。」
いやぁ、思うツボでした。
立ち読みして買っちゃいました。

エッセイは作家その人が出ます。
半分は途中で止めるものが多いです。
この本は最後まで興味持って読むことができました。


西川美和さんは作家であり映画監督でもある人です。
その西川さんは、監督として個人として映画に向き合って考えてきたことを雑誌、新聞、ウェブなどに寄稿してきましたが、その7年分のエッセイを収録した本です。
直木賞など各賞候補になった彼女ですが、私、彼女の文章は初めて読みました。

オーディションで人を選んだときの話
松たか子と一緒に重機の免許を取りに行った話
映画のワンカットのために使った動物の話
夢で見たプロットを映画「ゆれる」にするまでの話
その映画の際の香川照之の話(香川照之すごい)
父親が作ってくれたカチンコの話
等々35編

良いですね。
感性が好きです。
言葉選びが好きです。
文体が好きです。
そして生き方がとても好きです。

実際人生や仕事に真摯に立ち向かっているからこそ迷い、そして迷ったからこそ書くことのできる内容で、だからこそ全く未知の世界に触れる読者にも説得力があるのでしょう。
そして最後まで興味深く読むことができました。

映画でも書籍でも、今後意識して彼女の作品に触れていきたいと思います。

皆さんも興味を持ったなら、本屋で立ち読みだけでもしてみてください。
買うことになりますから。(笑)