子供の頃から「大きくなったらスパイ」を目指していた私が、この映画を観ない訳にはいきません。
ロンドン、サヴィル・ロウの高級テーラー「キングスマン」は、どこの国にも所属せず秘密裏の活動を行い、数々の難事件・テロリズムを解決する、スパイの本拠地であった。
殉職した「キングスマン」メンバーの息子であり元海兵隊員のエグジーは義父率いるギャングとの諍いの中逮捕され、17年前に「キングスマン」のペンダントを手渡した工作員のハリーと出会う。エグジーはハリーの薦めにより「キングスマン」の選考試験に参加し、他の候補生たちとともに過酷な試練を経験することになる。
一方、ハリーは仲間の死に関わった一連の事件にリッチモンド・ヴァレンタインというアメリカ人実業家が絡んでいることを知る。ヴァレンタインを調べていくうちに判明したのは、人類の存亡を揺るがす巨大な陰謀であった。(Wikipedia)
ブリティッシュ・スーツに身を固めたジェントルマンのスパイ。
傘や万年筆、指輪や靴や黒縁眼鏡などのスパイグッズ。
そして悪役ボスの用心棒の特殊な武器。
不必要な肉弾戦。
007の系譜の伝統的スパイ映画です。
これはもう私の大好物です。
実は007ではなく「0011ナポレオン・ソロ」ですけれどね。
同年代の人、覚えていますか?
洋服店から出入りするところもアンクルのオマージュですし、もともとナポレオン・ソロのロバート・ボーンは、マシュー・ボーンの母親と付き合っていて、父親であるという話しが有りましたね。
コリン・ファースがアクションをすること自体どうかなと思いましたが、思ったより良かったですね。ブリティッシュスーツの着こなしも流石です。
なんて言ったって、この間「英国王」だった人ですからね。
特にあの傘は最高です。あれは絶対欲しいです。
サヴィル・ローのキングスマンまで行けば売ってくれるのなら、すぐ行きます。
またあの万年筆ですよ。
私、文具好きを表明しているのに、私が持っている万年筆の中にはインクしか入っていないことに気がつき、とても悔しいです。
さて、この手のスパイ映画には、世界を敵にまわすボス・キャラがいます。
その点今回の敵リッチモンド・バレンタインは、目的も行動も狂気に満ちています。
スティーブ・ジョブスあたりをモチーフにしたようなこのキャラはとても良いですね。
「ゴールドフィンガー」では、相手の喉を切り裂く鋼鉄の鍔のシルクハットを使う用心棒オッドジョブがいました。「私を愛したスパイ」「ムーンレイカー」で出た用心棒ジョーズは鋼鉄の歯を持ち、すべてを噛み切ることができました。
今回の敵バレンタインの美貌の用心棒ガゼルは、特殊な義足でジャンプして、その足の先にある刃で相手に斬りつけます。
いいですね、ガゼル。
この手の映画に必要なキャラクターを見事に作ってくれました。
ガゼルの戦う姿を見るだけで、スパイ映画の価値があります。
組織、スパイ、グッズ、敵、用心棒、マシュー・ボーンはちゃんと揃えました。
もうこの映画大丈夫です。
映画の内容はハリー達に育てられながら一流のキングスマンに育つエグジーの成長物語になっています。
でも話の筋が結構適当で、各キャラクターの行動に必然性が感じられません。
このシーンを撮りたいから、強引に話を持っていったように見える部分も多々あります。
まあスパイ映画に面倒なことを言ってはいけません。
だってスパイ映画ですから。
全体の印象では「監督またやっちゃいましたね」って感じです。
あの「キック・アス」のマシュー・ボーン監督ですから、若干の過激シーンは有ると思っていましたが、いやあ、それにしても好き勝手やっていますね。
残虐なシーンをポップなBGMで印象を変える手法も健在です。
「キック・アス」のヒットガールが悪人を殺しまくるときと同じですね。
それにしても終盤のエルガーの「威風堂々」の使い方はやりすぎです。
そりゃあ、R指定になりますね。(誉めています)
マシュー・ボーン作品に免疫の無い人は全然ダメでしょうね。
確かに007や0011系統かもしれないけれど、予告編だけ見て正統スパイ映画だと誤解すると期待を裏切られます。
デート映画には避けたほうが良いでしょう。
マシュー・ボーン作品が面白いと思う人には、この映画マシュー・ボーン全開ですから観るべきでしょう。