先日早めの残業(笑)だったので、レイトショーで「WOOD JOB! 神去なあなあ日常」を観てきました。
「舟を編む」の三浦しをんの小説を基にした青春ドラマです。
私の好きな「スウィングガールズ」の矢口史靖監督の最新作ですね。
三浦しをんと矢口史靖の2人の映画ですから、面白いだろうと思い、観てきました。
大学受験に失敗した都会育ちの平野勇気(染谷将太)は、ふと見たパンフレットの表紙の女性(長澤まさみ)に引かれ、携帯電話がつながらない、コンビニも無い山奥の村で林業研修をすることになる。
「林業ジャイアン」と監督が形容したとても厳しい先輩(伊藤英明)の指導の下、林業の現場に悪戦苦闘しつつ、自然や村人達との触れ合いを通して、成長していく。
この2人は完全な「はまり役」でしたし、長澤まさみと優香はいつもと違う魅力が出てたし、光石研、柄本明、マキタスポーツ、西田尚美など脇役も皆とても良かったですね。
特に子供達が自然で、路上で麻雀しているばあちゃん4人組の存在感も、皆とても良かったです。
森林の映像も美しかったです。
雨の森林などの映像は、本当に生命力を感じました。
CGを極力避けて、俳優に本当に高い木に登らせたシーンや100年の大木を切り倒すシーンなどは、本物の迫力と美しさがありました。
ちなみに2箇所だけ、如何にも作り物の映像を入れたところがあります。
一つは動物愛護に配慮し、もう一つは物理的に有り得ない部分をファンタジー化するためと思いました。
矢口監督の考えでしょう。そうでなければ、映画はもっと本物っぽい表現が可能ですから。
物語の筋としては、確かに良くある成長物語です。
思わず知らない世界に入った主人公が、傍若無人な先輩を見たり、憧れの女性に出会ったりしながらどうなっていくのか。その結末は誰でも想像できるはずです。
でも、そこはさすがに矢口監督ですから、そんなことは関係なく、映画はとても面白かったと思います。
三浦しをんの「舟を編む」について当時のブログに以下のように書きました。
「辞書編纂は自分の世代で完成を見るかどうか分からない大きなプロジェクト」です。それに対して、人々がここまで自分を捧げていることに素直に感動しました。
今回の映画で取り上げた林業も、同じ感動がありました。
自分の代では見ることのできない100年後の素晴らしい大木に育てるために、今日も山に入っていく男達を描いていました。
この映画を観たら、山や森を見る眼が変わるでしょうね。
「この山の樹を全部切ったら億万長者だ」と言う勇気に
「100年後も残すために木を植える」という答えが返ってきます。
目先のことだけで精一杯のどこかの業界に聞かせてやりたいです。
お勧めです。