子どもはたくさんの疑問を持っています。
私が子どもの頃も当然にたくさんの疑問を周りの大人に聞きまくっていた記憶があります。
それらの質問は、純粋が故に科学や哲学や神学の神髄に踏み込んでしまい、大人でもそうそう答えられるものではありません。そしてそんなときに、大人が適当に答えられてしまうと、子どもでもこれは誤魔化されていると思うものです。私にも間違いなくそんな記憶があります。
「原子ってなに?」
「夢はどんなふうに生まれるの?」
「どうして音楽があるの?」
「風はどこからくるの?」
「なぜ戦争が起きるの?」
「人間はどうやって文字を書くことを覚えたの?」
「人はどうして永遠に生きていられないの?」
「神様ってだれ?」
「どんなふうに恋に落ちるの?」
これら100の質問に世界の第一人者100人が答えた本です。
答えが難しいのは子どもが分かる言葉で説明するからです。
回答者は分野の専門能力に加えて、難しいことをできるだけ分かりやすく説明する能力が求められます。そしてこの本の第一人者と言われる人達の答えは、単に質問に答えているだけではなくて、その回答の中に質問者である子どもに対する深い愛情が感じられます。
たとえば「スポーツで負けてばかりのとき、どうすればやる気がでる?」の質問に、
「まず、なにかに負けない人なんていないことを知っておいてね。」から始まります。
たとえば「火はどうやってもえるの?」という質問に、
「火をつける方法なんて、教えてあげないよ。だってたいせつな秘密だもの。それにものをもやすのは、とっても危険だからね!友だちとか靴下とかなにかに火をつけたりしちゃ、ぜったいだめなんだから。でももし、少しだけ教えてあげたとしたら、内緒にしておける?」と始めます。
たとえば「ミミズを食べても大丈夫?」という質問にしっかり答えてから、
「そうそう、もうひとつおぼえてほしい。「どしゃぶりの日にも笑顔を忘れない」ってことを。それが二番目にたいせつな教えだ。さあ、家なんかに閉じこもっていないで、探検にでかけよう!」って結びます。
たとえば「どうして大人の言うことをきかなくちゃいけないの?」に対する答え、私達が考えそうな答えに一味加えた答えが提示されていてなかなか良いですよ。
相手のために言葉を選んだ分かりやすい回答をすることは、私達専門家と言われる人達も備えなければならない必要な能力です。
私の知っている専門家の中で、何かと法律条文をあげて質問者を煙に巻こうとでもしているような回答を見ることがあります。説明が面倒で「俺に任せておけば問題ないんだ」とでも言いたいのでしょうか。そんな時代でも無いし、子どもも素人も誤魔化されていることだけは分かりますけれどね。
そして更に専門家は、その専門的回答だけではなく、その質問者の為に心を込めた提案も加えることができると良いですね。
この本を本屋で見かけたら、手に取ってみてください。
世界一素朴な質問に対する宇宙一美しい答えが、そこにあります。