2014年8月10日日曜日

人生はマラソンだ!


人生をマラソンに喩えるのは、あまりにも手垢が付いたベタな表現です。
そのタイトル(邦題ですが)を堂々と付けた映画です。何か嫌な予感はしましたが観てみました。なんとオランダ映画でした。

ロッテルダムで、自動車修理工場を営むギーア。
従業員は、ニコ、レオ、キースの中年3人組と、移民の若者ユース。
男たちは昼から缶ビール片手にカードゲームに興じ、マジメに働いているのはユースぐらいだ。
そんなある日、ニコが税金の督促状の束を発見。ギーアは皆に経営不振を隠していたのだ。滞納した税金を支払うために、ギーアたちはスポンサーを口説き落として一か八かの賭けに出る。
それはロッテルダム・マラソンに出場し「全員完走出来たら借金を肩代わりしてもらう。完走出来なきゃ工場を譲る」というもの。
元マラソン選手のユースのコーチの下、スポーツとは全く無縁だった4人は、マラソン完走に向け、練習を開始したのだが……。
はたして4人はフィニッシュラインに辿り着くことが出来るのか?
スタートの号砲は鳴った!
(公式サイトより)

もうどんな映画か想像ができるでしょ。
なおかつこのタイトルだし。
しかも評判では私の苦手な泣ける映画だそうだし。

様々な人生を抱えたオジさん4人がフルマラソンに挑戦するのです。
私も昔マラソンやトライアスロンをしていた同じオジさんとして、その部分だけでも共感できるかも知れないと思って、観てみました。

実はこの映画、観て良くも悪くも裏切られました。内容はどうも邦題で得た先入観とは違う映画でした。だから少なくても邦題は違う方が良かったのでは無いかと思います。
(原題はDe Marathon)

この映画、マラソンに喩えるような人生を描いているわけではなく、様々な人生を抱えたオジさん達がマラソンを走っているだけです。
「涙と笑いの人生賛歌エンターテインメント」
まあそうでしょう。
オジさん達のダメさを描くのにハリウッド映画の場合と違って、どこかユルイ感じなんですね。
そして最後のシーンは完全に予想を裏切られました。
あのシーンが泣く所なんでしょうね。

この映画全体にリアリティが薄く感じました。
フルマラソンを完走できるかどうかは、オジさんでもリアルにできるはずです。
そこの問題ではなく、この映画では本人達の変化と周囲の人間の変化の過程の描き方が唐突に思えます。このままでは、なんかステレオタイプの人間が多いと思いました。
どこかにもう少し心の変化が現れる伏線を貼って、もう少し丁寧に描いても良かったのでは無いかと思います。また周囲の人間の伏線ももう少し回収していても良いと思いました。
上映時間1時間53分でしたが、そこを丁寧に書いて「2時間3分でフィニッシュ」でも良かったかもと思ったりしました。

まあ、等々書きましたが、
珍しいオランダの映画で、オランダの町並みや生活が描かれていて興味深いし、アヤックス・サポーターのフェイエノールトに対する意地が見えたり、オジさんが主人公であっても、そもそも葛藤、友情、根性、スポーツ、笑い、涙...とくれば、結局嫌いな映画では無かったですが。