2014年7月19日土曜日

帯広での新人からの質問~めざすべき事務所規模

先日帯広で研修会の講師をしてきました。新人の皆さんの為の研修会でした。
以前も書きましたが、研修会の中でも特に新人の為の研修は、その人の人生に関わることです。かなり責任を感じて講師をしています。

ただし研修会は長くても3時間程度の持ち時間ですので、その中でどこまで伝えられるか、いつも考えています。
今回の帯広でも講義時間が短いので、事前に質問や講義で触れて欲しい内容のリクエストを出してもらっていました。さすがに出席強制されている訳でもない研修会に集まってくれた新人達ですから問題意識も多く、この研修会でもたくさんの質問がありました。

私の研修会では、いつも全部の質問に答えてから帰っています。答える義務があると思っています。
質問によって正解は無いかも知れません。でも質問者は人生を賭けて悩んでいます。私も自分の歩んできた土地家屋調査士人生を賭けて答えているつもりです。

他の地域の新人の皆さんの為にも、この研修会で戴いた質問について、何回かに分けて少しだけコメントをさせて戴きます。


Q「将来の事務所経営について補助者1人程度の規模か、大規模で進めていきたいのか自分で定まっていません」

たまにこのような事務所形態についての質問が来ます。
開業して不安で、これで良いのかという毎日でしょう。

確かに土地家屋調査士は個人に与えられた資格ですが、その事務所形態は様々です。
個人事務所として、土地家屋調査士1人で、補助者無しから数人までの規模の事務所が大多数ですね。
また他の土地家屋調査士や、他の資格業者と一緒に合同事務所をやっている人達もいます。この合同事務所の定義も難しいですが。
そして近年は調査士法人を選択する人も増えました。

これらの事務所形態には、それぞれメリット・デメリットがあります。
個人の土地家屋調査士事務所以外は、組織構造的な問題以外にも、実は資格者同士の相性や組み合わせという個人的な問題もあります。事務所の未来に対するお互いの方針の摺り合わせの問題もあります。
また土地家屋調査士同士の組み合わせと言っても、最初に組んだときと、数年経ったときとでは、お互いの役割も変わって来るかも知れません。その時点になってから破綻している組織もよく見ます。
これらの問題は別の記事にまとめます。

ただ新人に言いたいことは、まず事務所形態や目指す規模を最初から考えなくても良いと言うことです。

土地家屋調査士としてまず一生懸命に働いてみることです。
そして、どのような土地家屋調査士になりたいのか、一生懸命に考えてみることです。
考えて動いて、動いて考えてみることです。
目先の小銭を稼ぐことだけではなくて、将来についても大きな眼で考えてみることです。

10年も一生懸命に考えて働いていると、土地家屋調査士の業界における自分の特性が分かってくるはずです。
その特性を生かすことが当然お客様のためにもなるはずです。その時点で自分の選ぶべき事務所形態が見えてくるはずです。
またその時代には、要請される制度と、それに伴う事務所形態も、現在と変わっているかも知れません。
だから、そのときに判断して良いと思います。
また、そのときに応じて、判断が変わっていっても構わないと思います。

問題はどんな世の中になっても、どんな組織形態になっても、自分が必要とされる土地家屋調査士として力を付けて欲しいのです。
ハッキリ言って、力のある土地家屋調査士なら、どの事務所形態でも正解になるはずです。

この問題は論点がたくさん有ります。
何回かに分けて書きましょう。