2013年8月28日水曜日

本日の研修会の論点

宮城会の皆さん、本日の研修会お疲れ様でした。
また他の会からもたくさんの受講者に来て戴いてありがとうございました。
主催者としてはとても嬉しいです。

さて、本日の研修会は結構反響が有りました。
タイトルは、「境界立会業務等及び境界確定図面等作成において土地家屋調査士が留意すべき事項」について」
やはりタイトルは長いですね(笑)

土地家屋調査士が日常的に業務として扱っている「土地境界立会」と「土地境界確定図」というものは、果たして法的にどのような位置づけなのか。
隣接者が立ち会って見ているものは何なのか。
その立会に臨んで土地家屋調査士が調査しているものは何なのか。
その図面のタイトルは「土地境界確定図」で良いのか。
図面の中の「本図境界のとおり異議ありません」とは、何をどのように意思表示したことになるのか。
たくさんの論点がありました。
法的に100%確立されているとも言えない部分もあり、今回の研修会は第2部はディスカッション形式で、論点を抽出して検討を加える方法を採りました。

本日参加できない遠方の土地家屋調査士の皆さんの為に、第2部の論点をレジュメから抽出します。
「俺はこう考える」と皆さんは各々答えを持っているでしょう。
しかしその考え方が法廷でも通用するのかどうかが問題です。
今回は、答えを書きません。
以下のQを一度皆さんで議論してみてください。参考になると思います。


1 筆界と所有権界

Q1 土地家屋調査士が、民間相互の土地境界協議において、筆界を意識するのはどのような場合か?

Q2 土地家屋調査士が関与する民間相互の土地境界協議において、関係当事者は、筆界と所有権界との違いを意識しているか?

Q3 筆界付近地の時効取得の成立が疑われる場合、土地家屋調査士はどうするか?

Q4 筆界とは思えない線で相隣接地所有者が境界合意をしている場合、土地家屋調査士はどうするか?

2 立会・承認の適格を有する者

Q5 隣接地の所有権登記名義人等が死亡しているとき、誰に立会・承認を求めるか?

Q6 隣接地が区分所有のマンションの場合はどうか? マンションの管理人、マンションの管理者、マンション自治会の代表者はどうか?

Q7 土地が信託財産の場合、委任者Aと受託者Bのいずれに立会ってもらうべきか?

Q8 所有権の仮登記を受けている者が真の所有者であると主張している場合はどうか?
 (1) 所有権移転の請求権を保全する仮登記
 (2) 死因贈与の仮登記、都道府県知事の許可を条件とする農地の所有権移転の仮登記

3 立会・承認の実務
 ※ 所有権界調査の場合
 ※ 筆界調査の場合 登記官による分筆、地積更正、地図訂正の前提として、筆界調査に際しては、相隣接地所有者の署名又は記名及び押印のある筆界承認書等の提出が求められている。これは、次のことの各証明として求められていると解される。
 ア 筆界の相互承認があること
 イ 隣接地侵害がないこと
 ウ 紛争性がないこと

Q9 隣接土地所有者は、境界確認に立会う義務はあるか?
 (1) 所有権界調査の場合
 (2) 登記官による筆界調査、地籍調査の場合
 (3) 土地家屋調査士による分筆、地積更正などの申請のために行う筆界調査の場合

Q10 隣接土地所有者に対する立会の依頼を誰が行うか(依頼人か調査士か)?

Q11 境界確認の立会の際、土地家屋調査士は関係当事者に対しどのような説明をするか?
 (1) どのような説明をしているか。
 (2) 何を説明すべきか。

Q12 隣接土地所有者が立会や承認印の押印を拒否するケースにはどのような場合があるか?

Q13 立会のお礼(謝金)は必要か? 交通費や日当を請求された場合はどうするか?

Q14 遠隔地に居住する所有者については立会を求める通知を省略することができるか?

Q15 老齢の本人の立会を求めて境界確認を行った後に、その妻や子が異議を唱えているときはどうしたら良いか?

Q16 共有者の一部の者が立会あるいは境界石の新設・復元を渋っている場合はどうするか?

Q17 隣接者の1人が「Aの印は実印でないから、私は承認できない。」と言って承認を拒否する場合はどうしたら良いか?

4 境界立会確認図、境界確定図、筆界確認書+測量図

Q18 各立会当事者から承認をもらった図面(現地復元性があるもの)の記載内容に誤りがあった場合 ( ①結線の誤り ②長さの表示の誤り)、その図面の効力はどうなるか?
 (1) 筆界判定に対して
 (2) 所有権界に対して

Q19 「確認された境界につき、問題が生じた場合は、A調査士において全責任を負う。」との念書を書いた場合、その効力は?

Q20 立会当事者の全員から境界確認図面について承認をもらった後に、Aから立会・承認のやり直しを求められたが、どうしたらよいか?
 (1) 筆界判定について
 (2) 所有権界について
以 上


*2013/8/28 誤字修正