先日会員と登記に関する民法の考え方について話していたときに、その会員は独自の見解を示してきました。
私は、彼のその考え方ではちょっと厳密性を欠くと思ったので、その見解の根拠を訊いたら、彼はどうもネット検索しただけのようでした。
ネットのブログなどに記載されている解説は著者の個人的見解でしかなく、なおかつ著者が匿名であったりすれば尚更責任の所在も明確で無いものです。
またブログによっては単に集客の目的で書かれているブログ等も多く、専門用語についても集客目的に沿った部分で止めて、中途半端な説明で終わっているものがとても多いようです。
もし彼が、その書き込みを信じてプロとしての行動や発言をして、それによって何らかの事故が起きたときにはどう答えるのでしょうか。
「だってこのブログに書いてあったんだもん」って子供みたいな言い訳をするのでしょうか。
私達プロとしてお客様の登記の安全を図るためには、根拠は条文と判例・先例でなければなりません。その間を埋めるのは法律全体を貫く立法の目的に沿った理念です。
そしてその解釈はほぼ確立されているものです。
法律の考え方は条文を読むだけでは理解しにくいものです。
ましてネット検索でスポット的な単語の解説程度で法律を理解するのは無理です。
その法律の大きな流れと理念を学ばなければなりません。受験勉強の網羅的暗記型学習から、早く脱皮してください。
法律的センスを磨いていると、全条文暗記などしなくても、場合によっては始めて触れる法律であっても、「この法律なら必ずこのような意味合いの条文が有るはずだ」という見識が備わるはずです。
最近新人と話ししていても、とにかく書籍を読む量が少ないと思います。
携帯世代なのでしょう。携帯だけ見ているようです。
友人の大学教授が、学生の論文はコピペだらけだと嘆いていましたが、私も同じ思いです。
ちなみに友人は文学部の教授です。文学の世界でも自分の言葉で書くことができない人が増えているのでしょうか。
私も、各地で新人研修を担当させて戴いておりますが、新人達はとにかく書籍を読む絶対量が不足しています。
本を買いましょう。
先日も書きましたが、私達にとって専門書は娯楽ではなくて「仕入れ」のようなものです。
他の経費に比べても専門書はとても安いものですから、とにかく備えましょう。
本が手近にあれば、何かを調べるときにネットではなくて本に手を伸ばすことが増えると思います。
ネットを検索するなとは言いません。
私も何かを調べる切っ掛けにはよく使います。
ヒントにはなります。
また大きな流れが頭に入っていて、詳細な部分を再確認する程度ならネット検索はかなり使えるはずです。
使い分けが必要です。