2014年11月10日月曜日

しあわせのパン

原田知世ちゃん
良いですね。

私は彼女が時をかけていた頃からファンです。
彼女がいくつになっても私の中では「知世ちゃん」です。
私は何かと喫茶店で珈琲を飲んでいますが、インスタント珈琲を飲むときは「ブレンディ」一択です。

さて、2012年公開の「しあわせのパン」は震災のドタバタの中でしたから観ていませんでした。
賛否があったのでちょっと気になっていましたが、今回出張の移動中にやっと観ることができました。



あるお店や宿を舞台に、そこに来る客の様々な人間模様を描く映画は、過去からさんざん使われた手法です。

驚くようなどんでん返しもなく、スリルもサスペンスも無く、コメディでも無い。
物語の展開も先が見えるものです。
人間模様を描いているようでいて、深味も無く、心の変化にリアリティが薄い。
合わない人は合わないでしょうね。

だけどそれが映画として何が問題あるのでしょうか。
細かいことはいいです。これはファンタジーですから。
この映画観るとなんかいいんですよ。
それに知世ちゃんが出ているんですから。

美しい北海道の自然の中、洞爺湖畔に小さなロッジ兼用のパン屋がオープンした。
1階のテーブル席では、大きな窓に湖畔の景色が映え、夜になると美しい月がいつも見える。
美味しいパンを焼く夫「水縞くん」が大泉洋、美味しい珈琲を入れる妻「りえさん」が知世ちゃん。
店名は、りえが子供の頃からお気に入りの絵本「月とマーニ」にちなんで「カフェマーニ」。
りえの初恋の人はこの絵本の中のマーニ。

その店に四季折々に旅行客が訪れる。
北海道から出られない青年、時生(平岡祐太)
沖縄旅行をすっぽかされた傷心の香織(森カンナ)
心を閉ざした少女、未久(八木優希)とその父親(光石研)
想い出の地に再びやってきた老人(中村嘉葎雄)とその妻(渡辺美佐子)

各々の事情が見え隠れするが、カフェ・マーニの水縞夫妻と、お店の常連や近所の人達との交流を通して心が癒やされていく。
そんな物語です。

大泉洋が珍しく寡黙な夫を演じています。
残念ながら知世ちゃんと良い感じの夫婦になっています。
いやいや映画としてはとても成功していますし、とても重要な点です。

脇を固める役者達もなかなかの個性派揃いで、いい味出しています。

旅行者以外にも店の常連として
謎のトランクを抱えた山高帽の阿部(あがた森魚)
何でも配達する郵便屋さん(本多力)
なんでも聞こえてしまう地獄耳の硝子作家陽子(余貴美子)
子だくさんの広川家の夫(中村靖日)等々
庭のとても可愛い子羊ゾーヴァも良い役をもらっています。

そして特筆すべきは映画のフレームが、一枚の絵になるように切り取られています。
変にズームなど多用せずに、北海道の自然も人物の立ち位置も、すべて一番美しく見える距離感で切り取っています。

パンも珈琲も料理も、作るところも含めて真上から撮しています。
ちなみに私、大のパン好きです。
美味しそうで、暖かさが伝わります。

だからファンタジーでも、そうかも知れないと納得させられます。
これはこれでとても良いです。
私は好きです。

エンディングテーマは、矢野顕子 with 忌野清志郎の「ひとつだけ」です。
これも昔から好きな曲です。
三島有紀子監督がこの曲にインスパイアされてこの映画を作ったようです。

美しい北海道の自然は、やはり映画館の大画面で観たかったです。

というか実際に北海道のマーニに行って、水縞夫妻からあのパンと珈琲を戴きながら、美しい自然を観てみたいものです。

そうしたら、ずっと良い人でいられそうです。