2013年6月7日金曜日

土地家屋調査士が知っておくべき土地区画整理

日調連会報7月号に「土地家屋調査士が知っておくべき土地区画整理」という原稿を書きました。
本来は数ページでは説明できない内容で、おそらく一冊の本になるべきものですが、字数の関係で考えるヒントだけを書いてみました。

土地区画整理事業は全国で古くから実施されている事業であり、土地家屋調査士の皆さんにもとても身近な事業として理解されていると思います。
しかし、土地家屋調査士だけでなく、司法書士も不動産業界も,登記官でも、身近だからこそ、よく知っているようで誤解されているようにも見受けられます。

また土地区画整理事業に関する不動産登記先例も多数有りますが、土地家屋調査士や登記官の一部の方にも土地区画整理事業の本質を理解していないから、なぜそのような先例が必要で、なぜそのような結論になったのかという先例そのものも深く理解していないように見えることもありました。

土地区画整理事業は、長い期間を必要としかつ広範囲を施行するので、その近隣の土地家屋調査士は何度も土地区画整理に関する経験を積むことになります。しかし、それらの経験はその1つの事業のケースでしかありません。

区画整理事業区域に近い土地家屋調査士は、日常的にこのような質問が地権者から来るでしょう。
たとえば地権者からの以下の質問に明確に答えられるでしょうか。

皆さんが、たまたま経験している地区の僅かな経験知識だけで、地権者からの区画整理事業に関する相談を受ける事はとても危険です。
区画整理事業がらみの訴訟も多いのです。

これらの質問に答えられると思っている方も実は誤っていることが多いのです。それはその方の僅かな経験則からの答えだからと思われます。
以下の質問には土地家屋調査士にとって専門外の質問も含まれています。
ある程度は専門外と逃げられるでしょうが、でも登記関連部分は専門外とも言えません。
一度謙虚に整理する必要があります。


Q)区画整理における減歩はそもそも基本的財産権の侵害だから憲法違反では無いのか。

Q)区画整理地内に入れられたが不満だ。反対すれば良いのか。

Q)区画整理地内の地権者全員が反対でも施行される区画整理があるのか。

Q)仮換地と保留地と従前地と底地の違いはなにか。

Q)清算金や賦課金、減価補償金とはなにか。

Q)従前地を売買したいのだがどうすれば良いのか。また気をつけておくことはあるか。

Q)買った保留地を転売したいのだが、どうすれば良いのか。

Q)融資を受けて仮換地に建物を建てるときに、土地の担保はどうすれば良いのか。また保留地ならどうすれば良いのか。

Q)区画整理事業で従前地はすべて測量するのか。

Q)区画整理地内はすべて創設的筆界だから基本的に境界争いは無いか。

Q)仮換地の分筆登記の方法はどうするか。

Q)仮換地の地目変更登記はできるのか。

Q)仮換地や保留地上の建物表題登記はどうするのか。

Q)仮換地上の区分建物の敷地権はどう考えれば良いのか。

Q)保留地上の区分建物の敷地権はどう考えれば良いのか。

Q)従前地はいつ新しい地番になるのか。

Q)仮換地時に登記された建物の敷地地番は、いつ誰が新しい地番に変更してくれるのか。

Q)換地処分に伴い所有権者の住所が変わった場合は、その所有権名義人の表示はいつ誰が変更してくれるのか。

Q)換地処分で権利証は発行されるのか。