できれば恒久的な研修科目として、日調連のe-ラーニングに入れて欲しいとの要望もありました。
先日の報告会の第二部とは「土地家屋調査士と震災業務」と題して、土地家屋調査士が取り組む震災復興業務を説明いたしました。具体的に岩手と宮城の取り組んでいる建物や土地についての業務を説明しました。
これらの発注業務について、万が一、ご自分の地域で災害が起こったときのために、今回の発注仕様に沿って勉強しておきたいといのです。
確かに説明の時間が足りなかったですね。
仕様については土地家屋調査士会を通じてお問い合わせ戴ければ、組織としてお返事致しますし、講師が必要ならお伺いしてご説明も致しますが、それと問題は全く違うと思います。
一番ここを理解して欲しかったのですし、現場のバスツアーで、そこも見て欲しかったのですが。
被災地は、各々その被災状況が違います。
被災内容も規模も原因も種類も違います。
もちろん、そのときの政府の方針と行政担当者によっても内容が異なります。
ですから全国で何か問題が起こったら、今回の仕様のまま業務が発注されるのではないはずです。実際に阪神・淡路大震災のときの災害復興業務と今回の業務は全く違いました。
建物滅失調査業務は確かに同じ業務ですが、今回は津波起因が入ったために、業務の規模と方法が異なりました。併せて、あれから17年コンピュータ技術も変わったので、前回のやり方はそのまま参考にはなりませんでした。
そんなところを皆さんに考えて欲しいのです。
土地家屋調査士の皆さんは、地域密着で地元の土地を一番知っているはずです。
どこにどんな災害が起こりそうかイマジネーションを働かせれば、答えが出てくるはずです。
たとえば富士山や桜島などの噴火を伴えば、どんな災害が想定されるのか。
そのときに皆さんの地元の土地や建物はどんな被害を被るのか。そのときに地図や登記はどうなると思うのか。
そのときに自分たち専門家ができることは何があるのか。
発注を待つのでは無く、今から提案して欲しいのです。
そうすれば、仕様書も自分たちで提案できます。
そんなことを考えて戴きたいのです。
不吉なことを書いて申し訳ありません。
でも専門家は、不吉なことを不吉と思わずに、科学的に考えて可能性をイメージしなければなりません。
今回の業務をご説明することが必要なら、何回でもやりましょう。
ただし、それを聴いていれば問題ないと思っているなら、それこそ問題です。
日調連のe-ラーニングは、土地家屋調査士全体の研修体系の中で構築すべきものです。
今回の震災ネタを、その体系に無理に入れるなら、地籍学の中で地殻変動と地図の考え方などを入れるべきでしょう。
少なくても、今回発注の業務仕様の研修を4~5時間位置づけるのはナンセンスと思うのです。
土地家屋調査士の皆さんには、専門家としてもっとイマジネーションを働かせて、今のうちにできる防災をやって欲しいと願っています。
それが被災地の願いです。