2010年10月7日木曜日

梅棹忠夫 語る

梅棹忠夫氏は私に影響を与えた一人である事は以前も書きました。たくさんの著作を残しました。その方が先日亡くなったので、もう新しい著作はもう無いのだと思っていましたが、新刊が出ました。


「梅棹忠夫 語る」聞き手小山修三(日経プレミアシリーズ)です。

梅棹忠夫氏との対談から、その聞き手である小山修三氏によって梅棹氏のエッセンスがまとめられた本です。
これは対談ですから、読み易く面白い本です。そして梅棹氏のバックボーンがよく分かる本です。奇を衒ったコピーではなく、梅棹氏のストレートな魂が伝わる言葉が切り取られ、すごく読んでて嬉しい本でした。

振り返ってみると、私が学生時代に読んでワクワクした部分は、この理科系の学者肌で、権威を疑い、既存技術を疑い、冒険心と発想力に溢れ、そして合理性を貫いているところでした。

今この年になって、この本を読んでみて、梅棹氏の学者としての原点とその著作が少し理解できた気がします。

少しキーワードを書き抜きましょう。

君、それ自分で確かめたか?
わたしは全部、自分の足で歩いている
歴史を知らずにものを語るな
みんなむつかしい文章書くよな。単文の連続で書かんと
メモ/スケッチと写真を使い分ける
情報は分類せずに配列せよ。そして検索が大事
空想こそ学問の原点
英語で「妄想」という言葉、あるか?やっぱりイマジネーションや。
学問から思想は出てこない。思想から学問はあるな
学問と言えば、ひとが書いたものを読むことだと思っている
若い人こそ本質論をやれ
できない人間ほど権威をかざす
困難は克服されるためにある。わたしは腕力でいろんなものを乗り越えてきた
人には逃げてはならない状況がある

キーワードだけだと、最近の自己啓発本のように見えるでしょうか。全然違うのですけれどね。
梅棹氏の最後の本です。読んでみませんか。
梅棹氏を読んだことのない人にとっての、最初の本だとしても悪くないと思います。