2010年8月22日日曜日

モノレールねこ 加納朋子

私は大型書店のすべての棚を3時間ほどかけて全部見る事を趣味としています。
もう買う事が決まっている本はAmazonで注文して買えば早いので、書店に行く目的は、買うかどうか迷っている本を実際に立ち読みして確認する事と、まったく予備知識の無い本との出会いを期待する事です。

そのまったく予備知識のない状態で出会った本の1冊が、加納朋子著「モノレールねこ」でした。
私は加納朋子という著者自体知らなかったのですが、表紙の不細工な猫の絵と「ザリガニの話で泣くなんて思いもしなかった」という吉田伸子氏の帯が付いていたのも、書店で手に取った理由の一つでした。
加納朋子さんは、後で調べるとジャンルは推理作家だったんですね。えっ、知らないのは私だけだったんですか。

私は気になった本は買う事にしていますので、実はこの本はあまり期待しないでとりあえず買って、しばらく「積ん読」の1冊でした。そして、その「積ん読」の中から先日引っ張りだして読んでみました。読んでみると、なんか日常的などこにでも有りそうな出来事(小さな謎)を元に、人と人との大切な絆を描いた8つの短編集です。

私にとって強い感動を得るというタイプの本ではないのですが、読後なにか優しい気持になれる本でした。また、文体や素材についても、凄くセンスの良い作家だと思いました。誰にでも書けそうに見えて、絶対に書けない世界だなとも思いました。

私にとって、すぐに次の本を書店に捜しにいく作家では無いけれど、おそらく書店で偶然出会ったらまた買うというような付き合い方をする作家になるのかな。