2012年5月11日金曜日

売れ続ける理由 さいち

私たちのような専門家と呼ばれ、お客様から先生と呼ばれる仕事をしていると、自分たちでいろいろ勘違いしてしまうことがあるようです。サービス業に違いないはずなのに・・・。

先生と呼ばれて満足している仕事をしていると、日々変化する社会の中で取り残されてしまいます。「本人が良ければ良い」のではなく、日々研鑽を続けないと、その土地家屋調査士の事務所に来てくださるお客様に失礼になります。

「それではダメでしょ」と、全国で実力をつけようと努力している土地家屋調査士の仲間がいます。とても良いことです。でもその勉強の目的が自己満足になっていませんか。
誰も知らない技術を身につけることはとても気持ちのよいものです。
でも、私たちはお客様のために努力するはずです。

全国で法人化や合同事務所への動きがあります。これも土地家屋調査士代表が、直接お客様の現場に行かないようになるシステムなら、お客様のためはならないと思います。

「あらゆることはお客様のため」という気持ちで動き、小手先でない正直な事務所経営なら、自然とお客様も支持してくれるはずです。

仙台市太白区秋保町の「さいち」をご存知ですか?
人口4700人の町の80坪弱の小さなスーパーマーケットですが、地元だけでなく、日本中から固定客が来ます。

また全国600社から視察研修依頼が来ています。その中にはあのイトーヨーカドーなどの全国展開の企業も含まれています。それらのライバルにもタダで企業秘密を教えます。
何故そんなことが起こるのでしょうか。

その「さいち」の本「売れ続ける理由」を読みました。




目次を紹介しましょう。
プロローグ 人口4700人の町の小さな店に、なぜ、全国600社超から視察研修依頼が殺到しているのか?

第1章 瀕死のどん底から、おはぎが1日2万個売れるようになった理由

第2章 同業他社でなく、「家庭の味がライバル」という非常識な商品ルール

第3章 「惣菜をつくる姿勢」をつくれ! さいち式・レシピなしの人づくり

第4章 売上・客数がぐんぐんアップする門外不出の「アナログ閻魔帳」の秘密

第5章 チラシなしでも、家族の絆があれば、お客様がひっきりなしに押しかけてくる


この本には示唆に富んだ言葉がたくさん有ります。
小手先のビジネス指南書ではなく、正直な実践を通した良い言葉です。

さいちのお惣菜の原価率は60%。普通のお店よりずっと高いが、ロスゼロを実現しているので、40%は利益になる。

いまでこそ「甘さ控えめ」が喜ばれるが、当時はまだそんな時代ではない。それでも専務は、「ひとつ食べたらたくさんではなく、なんとしても2つ食べていただくようなものを」「お腹がすいているときには何個でも食べられるものを」と心に決めていた。

専務はお客様にほめられたときは、「この子がつくったんですよ」と言って、そのお惣菜をつくったスタッフをお客様のもとに連れていく。すると、その従業員はものすごい感動を受ける。

お新香は、長い物を1本買っても少人数の家庭では余ってしまうので、最初は「ひと切れ10円」で売った。

お惣菜の「惣」の字には「心」という字が入っている。お惣菜は「心の入ったもの」。お惣菜づくりにおいては、お客様を思う心が第一。心を忘れては絶対にダメ。

問屋の原価を値切らない方が利益が上がる。私の問屋さんとのおつき合いの原則は、「価格交渉はしない」。問屋さんに言うのは、「納得のいく商品を、おたくとの信頼関係においてお願いします」ということだけ。

スーパーコンビニは共存共栄の仲間。

何も無い私はブレようがない。


お客様への姿勢、従業員への姿勢、同業者への姿勢、仕事への姿勢。
このような他の業界の話が、勉強になります。
私も秋保方面に行く際には、いつも立ち寄り、おはぎや煮物を買います。
ですから、私は、この本の話を実感として理解できます。

土地家屋調査士のような専門家こそ、事務所経営の参考に読んで欲しい本です。