2012年4月9日月曜日

放射能避難と調査士事務所登録移転

福島第一原子力発電所による放射能汚染がどの範囲まで及んで、どの範囲が危険で、どの範囲から安全なのか、誰も明確に答えられない状態です。
政府と東電による速やかな事実の開示がなされなかったため、何が真実か国民が判断できなくなったからです。

放射能の安全地域と言われるところに住んでいても、小さなお子さんがいるご家庭では不安は消えません。
私の仙台市内に住んでいる親戚も、仙台でもとても怖いので、遠くの沖縄に子どもと引っ越したいと言い出しています。

これを他人は大袈裟と言います。
世間的には仙台は安全と言われているからです。
でも本当でしょうか。
分からないのです。

一番かわいそうなことは、子供が心配のあまり引っ越したいと言う人が、世間から非難されることです。
「大袈裟だ」「わがままだ」「いい加減にしろ」・・・と。

でも親の気持ちは「また政府や東電の発表に嘘が有るかもしれない。そうしたら子どもを守れない。世間に何を言われてもこの子を守る。」という決意です。
これを非難することは難しいのです。

事実が分かって、国民全員が納得すれば解決することです。
これらの悲劇が東北だけでなく、関東にまでも及んでいます。
関東圏に住んでいる方も、遠くに避難している方が多数いらっしゃいます。

「いったい、どこまで行ったら安全なのか?」



先日、福島会の五十嵐会長とお話をしているときに聞いた話です。

福島県土地家屋調査士会会員で、放射能からの避難するために他県に登録移転する方が何人か出てきているそうです。

今までは一時的避難だったところ、やはり長期戦を考えて他県で土地家屋調査士業をされる覚悟を決めた方もいます。
また別に、しばらくは家族を他県に住まわせ、自分だけ福島で逆単身赴任として、仕事をしていた人もいます。

とてもとても気の毒なお話しです。

私たちの仕事はやはり地域密着の仕事ですから、どんなに仕事のスキルが高い人でも、他所に行ったら仕事は難しいでしょう。
そんなことは誰でも分かっているから、だからこそ悩んで頑張っていたのでしょう。

しかし、放射能がいつ落ちついて、いつ故郷に帰ることができるか。
先行きが分からず、家族との二重生活もいつまでも続けることができません。
ついに、事務所の移転を決意したそうです。

当事者は大変な決断だったと思います。

今回の避難のための事務所移転する方々は、ほとんどの方が何も縁故が無い地域への移転だそうです。その中には福島県土地家屋調査士会の理事さんも含まれているそうです。

新しい土地で定着して、仕事も順調に行き、その地が新しい故郷になることを、心からお祈りしたいと思いますし、私たちの全国の人脈が何らかのお手伝いができないか、皆で考えてみたいと思っています。