最近、鈴木修塾の塾生以外の新人の方からも、土地家屋調査士事務所の事業承継についての相談が増えています。
このテーマについては過去のブログ(2020年5月26日)でも触れましたのでメリットやデメリットの詳細はそちらをご参照ください。
土地家屋調査士 鈴木 修 ブログ: 事務所の事業承継をしてもらえる人
今回、特に考えていただきたいのは、補助者がいる事務所を承継する場合です。
事業承継の話が持ち込まれるときには必ず理由があり、なぜ自分に声がかかったのか、なぜ他の人ではなく自分なのかを一度立ち止まって考えることが大切です。
もちろん承継を持ちかける先生が悪意を持っているわけではなく、双方にとってwin-winになると考えているはずです。
しかし、事務所を経営してきた先生の時代とこれからの時代ではマーケティングや経営環境が大きく異なるため、承継者に期待される事務所の方向性と自分自身の将来ビジョンが一致しているかどうかを見極める必要があります。
そして最も大きな課題は補助者の存在です。
調査士本人が引退するだけなら簡単です。土地家屋調査士会に退会届を提出すれば良いだけです。では何故事業承継を考えるのでしょうか。
長年の一定の売上げを見込めるお客様の存在や事務所独自のノウハウと財産を退職金代わりに「のれん代」として考える先生も多いと思いますが、むしろ、長年一緒に働いてきた補助者を突然解雇するのは忍びないという先生の思いから、継続して今いる補助者を雇ってくれる人を求めるケースは非常に多いのです。
承継者にとっては事務所の売上や顧客だけでなく補助者との関係性も引き継ぐことになり、承継後に最も重要なことは、実はお客様より補助者との良好な関係を築けるかどうかです。
補助者は承継者より年上で事務所を実質的に仕切っている可能性もあり、主導権が曖昧なままでは事務所が空中分解することも少なくありません。
したがって承継前に補助者を含めて十分に話し合い、長期的に協力関係を築けるかどうかを確認することが不可欠です。
事務所の先生が承継を持ちかける相手は、1〜2年で仕事を覚えてすぐ独立する人ではなく、補助者も含めて長く事務所を維持し共に働いていける人を求めているのです。
そしてその補助者は、良くも悪くも今の先生のやり方が何年も身に付いている方たちです。今のやり方で長く事務所を維持してもらいたいことが本音でしょう。
お互いにやり方を変えるだけで相当なストレスになるでしょう。
補助者がいる事務所の事業承継では、補助者との関係性を良好に保てるかどうかが最大のポイントであり、そこを慎重に見極めることが何より大切だと思います。
