仙台市で土地家屋調査士事務所を開業している鈴木修の個人ブログです。 2015年5月まで宮城会員や全国の土地家屋調査士の新人に向けて書いてきた「宮城県土地家屋調査士会の会長ブログ」を、そのまま個人ブログに引き継いだものです。 土地家屋調査士の制度や専門家としての事務所経営の考え方を書いてみたり、個人的な趣味や今考えていることについても書いていきます。興味のある分野だけ拾って読んでみてください。
2017年2月6日月曜日
マグニフィセント・セブン
黒澤明監督の映画「七人の侍」を西部劇にリメイクした映画が「荒野の七人」です。
どちらも傑作です。
そして今年また、このリメイク映画ができました。
「マグニフィセント・セブン」です。
リメイク3作目を創る意味があるのでしょうか。
(もちろん、宇宙版もあったけれど私は数に入れませんし、「続・荒野の七人」から始まる3作も「七人の侍」のリメイクの路線ではないのでこれも数えません)
何作目であっても、この「七人(セブン)」を名乗った時点で、過去の名作と必ず比べられる試練が待っているのです。余程の名作でない限り、必ず叩かれる運命の映画です。
かなり不安になりながらも、やはり「荒野の七人」のリメイクなら観たいという気持ちと、私の好きなデンゼル・ワシントンが出るということもあるので、とりあえず観ることにしました。
結論、観て良かったです。
久しぶりに正統派の西部劇を観ました。
お約束の銃撃戦もかなり迫力のあるものでした。
七人も魅力的で、面白いものでした。
映画としては、観ても損はしません。
ただし...(やはり...)
この映画は「七人の侍」のリメイクですよね。
そう考えてしまうと若干弱いですね。
「七人の侍」では、あの激しい戦闘シーンの中にもしっかりと人間を描いていました。
「荒野の七人」も、そこは描いていたと思うのです。
今回の7人は、とても今日的なチームでした。
つまり、黒人、白人、アジア人、メキシコ人、ネイティブ・アメリカンの混成の7人です。(もしかするとあの二人は同性愛者かも知れませんし)
そして、助っ人探しに来るのが女性で、しかも直接銃を持って戦う女性です。
これは新大統領に見せてやりたいポリティカル・コネクトネスの世界です。
しかし、この一癖も二癖もある7人が、何故この戦いに入り込んだのか、そこがあまり描かれていません。何か参加の仕方が唐突なのです。リーダーのチザム(デンゼル・ワシントン)だけは強い動機があったことが後で分かるけれど。その理由に皆を巻き込んだだけなら、映画としてまずいでしょう。
単純な金のためでも、正義のためでも何でも良いから、もう少し各々の動機付けを見せて欲しいのです。そこの描き方が少なかったと思います。そうでないとあそこまで命をかける状況の説得力が無いのです。
「荒野の七人」のハリー(ブラッド・デクスター)が死ぬ直前に、クリス(ユル・ブリンナー)が「実はこの村には大金が隠されていて....」と説明し、ハリーが命をかけた意味に満足して逝かせてあげるシーンが印象的でした。
ああいう何かが欲しかったと思います。
「七人の侍」は207分、「マグニフィセント・セブン」は133分だから、どうしても掘り下げる時間が無い、もしくは、編集時にカットされた、そんな意見も有るでしょう。でも「荒野の七人」は128分です。やはり工夫次第だと思うのです。
おそらく監督はそこ以外にこだわりたかったのでしょう。
でも、私はこの種のチーム戦の物語は、仲間を集めるところがとても面白いと思うのですけどね。
「七人の侍」「荒野の七人」の魂を引き継ぐのなら、外見的な多様性よりも、心の多様性にも丁寧に触れて欲しかったです。
今回のクリス・ブラットやイーサン・ホークも良かったけれど、思い出すと「荒野の七人」のマックイーンもブロンソンもコバーンも皆良かったなぁ。豪華だったなぁ。また観よう。
ここまで書いているのは「マグニフィセント・セブン」が傑作にチャレンジしたからで、どうしても比較したくなっただけです。
この映画は本当に面白いんですよ。
かなり人は死ぬけれど、残酷シーンでもないし、誰にでもお勧めの娯楽映画です。
ここまで書きながら「七人の侍」も思い出しています。
菊千代(三船敏郎)の名台詞がありました。
人間と社会を深く掘り下げながら、とてつもなく面白い娯楽作品として成立させています。
やはり、何度もリメイクのベースになって、世界の数々の作品からオマージュを捧げられた「七人の侍」は凄い映画でした。
やい!お前たち!一体百姓を何だと思ってたんだ?仏様だとでも思ってたか?ん?
笑わせちゃいけねえや!百姓くらい悪ずれした生き物はねえんだぜ!
米出せっちゃ、無え!麦出せっちゃ、無え!何もかも無えっつんだ!ふん!
ところがあるんだ。何だってあるんだ。
床下ひっぺがして掘ってみな!そこになかったら納屋の隅だ!
出てくる出てくる・・・瓶に入った米!塩!豆!酒!
山と山の間に行ってみろ!そこには隠し田だ!
正直ヅラしてペコペコ頭下げて嘘をつく!何でもごまかす!
どっかに戦でもありゃあすぐ竹槍つくって落ち武者狩りだ!
よく聞きな!百姓ってのはな、けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ!ちきしょう!おかしくって涙が出らあ!
だがな、そんな「けだもの」をつくったの、一体誰だ?
お前たちだよ!侍だってんだよ!馬鹿野郎!
戦の度に村を焼く!田畑踏ん潰す!食い物は取り上げる!人夫人にコキ使う!女は犯す!手向かや殺す!
一体百姓はどうすりゃあいいんだ!百姓はどうすりゃあいいんだ、百姓は・・・
ちきしょう・・・・ちきしょう・・・!