2015年12月27日日曜日

二代目の事務所経営について

「土地家屋調査士開業ガイダンスin大阪」には、多くの方から参加申込みが届いています。
しかし、地域的に、日程的に、このガイダンスに参加できない人もいるでしょう。
また、参加者のすべての質問に答えるつもりですが、時間的な制約もあります。
ですから、参加する方にも参加できない方にも、少しでもお役に立ちたいと思い、このブログにも少しずつヒントを書いています。

今回も二代目の方からの事務所経営の相談が来ています。
この二代目の登録のタイミングについては以前にも書いたつもりです。
内容は重複する部分もありますが、今回は事務所経営についても、もう少し書きましょう。

まず、登録の時期です。
これは前回も書きましたように、すぐに登録してください。
会費を2人分払うのは、もったいないと思わないでください。
逆に時間がもったいないと思います。
二代目のあなたが、その事務所を継ぐつもりなら、本当に早く登録してください。

資格試験に合格しようが、登録しないうちは所詮補助者です。
登録してバッジを付けている者とは意識レベルが違ってきます。
すべての仕事に自分の職印を押すことが、どれだけ怖いことなのか身をもって知ります。
知れば、さらに勉強します。
親の職印を押しながら、何か困ったら親に相談するあなたとの違いは、とても大きいです。
あっという間に差が付くでしょう。

また、土地家屋調査士として登録するまでは、基本的に土地家屋調査士対象の研修会に参加できません。
あなたがどんなにベテランの補助者であっても、そのノウハウは登記や測量の「事務処理」でしかありません。登記事務の処理と「専門家としての知見」とはかなり違うものだと思います。
そして、常に最新の研修会に参加していないと、土地家屋調査士試験合格程度では時代に合わせた専門性など保つことができません。

更に、前回もお伝えしましたが、あなたは 早く登録して、お父さん以外の土地家屋調査士にたくさん会う必要があるということです。
それは、お父さんがどんなに素晴らしい土地家屋調査士であったとしてもです。
これからの土地家屋調査士は、専門性が多岐に分かれる時代です。
そして全国には、様々な土地家屋調査士がいます。
お父さんとは別の専門性を持って生きている土地家屋調査士もいるはずです。
もしかしたら、二代目のあなたの目指すべき土地家屋調査士像が、お父さんの他にもいるかもしれません。
それを確認するだけでも登録の意味があります。

さて、事務所経営の面からもお伝えしたいことがあります。

まず、事務所体制です。
今の事務所に補助者がいるとして、その方々はあなたの親に雇われて育てられた方々です。
もしかしたら、あなたと同じ年代かも知れませんね。
あなたに代が替わったとして、素直に従ってくれるでしょうか。
代替わりのタイミングで、事務所がバラバラになった例をたくさん見ています。
その補助者の方々と上手くやっていく自信があれば、問題はありません。
でも、もしかしたら、今のうちに登録して、自分の子飼いの補助者もつくっておいた方が良いかも知れません。

次に、事件受託の問題です。
お客様は誰に付いているか、ということを考えなければなりません。
親のお客様を、息子といえども必ずしも引き継ぐことができないのです。
お客様は事務所に来るのではなく、結局人に来るのです。
あなたの親が引退する直前に登録しても間に合いません。
早く登録して、あなた自身のお客様を作った方が良いでしょう。
また、あなたは、昭和の時代の親とは違うノウハウを身に付けなければなりません。
あなたは、新しい時代も土地家屋調査士をやっていかなければならないからです。

おそらく、新しいノウハウや新しい考え方は、登録してたくさんの土地家屋調査士に会わないと身につかないでしょう。

頑張ってください。