東日本大震災から2年経った3月17日に、多賀城市文化センターで「歓喜の歌 多賀城第九コンサート」が開催されました。アサヒビールホールディングスがスポンサーとなり、多賀城市が企画し、開催されたものです。
企画書には以下のとおり記載されています。
東日本大震災では多くの市民が犠牲になりました。多賀城市文化センターに避難した人だけでも3000人。その苦しみと涙を毎日共有していました。今こそ、市民みんなで笑顔になりたい。ステージと観客と心をひとつにして全員で歌いたい。震災で味わった、物質の有 無では埋めることの出来ない喪失感を、歌という形で満たしたい。会場全体で、勇気と元気 と感動を共有したい。そんな思いから、あらゆる苦難を乗り越えて歓喜へ向かう第九の歌詞 に復興への希望を込めてこのコンサートを開催します。
第一部では
秋川雅史氏が地元の子供達と一緒に「千の風になって」を歌いました。
東日本大震災では、とてもたくさんの方々が風になりました。
第二部では
ベートーヴェンの交響曲第九番「合唱付」が演奏されました。
石川真也氏の指揮による仙台ニューフィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
ソリストは、ソプラノ佐藤 順子、アルト髙山 圭子、テノール 松尾 英章、バリトン 髙橋 正典の皆さんです。
合唱は多賀城第九合唱団と言って、この為に応募した150人の市民の皆さんによる合唱団です。この為に昨年から多くの時間を練習にあてたと聞いています。とても立派な合唱でした。
楽章の間に拍手が起こったりして、復興コンサートだから普段クラシックのコンサートに来ない人たちも多かったのでしょう。その人たちが感激したから拍手していると思うので、マナー云々は語る必要も無いと思いました。
その後、第三部と言うべきかアンコールと言うべきか、
ステージと会場が一緒になって第九の「歓喜の歌」を歌いました。
個人的にはベートーヴェンの第九は何度もコンサートで聞いていますが、震災を体験して改めてこの曲を聴いてみて、「苦難から歓喜へ」を表現しているこの曲は、やはり特別な曲だと感じました。
そして最後に会場全体で「ふるさと」を歌いました。
久しぶりに歌詞を噛み締めて歌いました。
兎追ひし彼の山
小鮒釣りし彼の川
夢は今も巡りて
忘れ難き故郷
如何にいます父母
恙無しや友がき
雨に風につけても
思ひ出づる故郷
志を果たして
いつの日にか帰らん
山は青き故郷
水は清き故郷
全体構成として情緒的に流れそうな企画を、ベートーヴェン第九の重厚さが押さえて、良いコンサートでした。