2012年8月10日金曜日

法改正時の条文の理解の仕方

明日は宮城県土地家屋調査士会の研修会です。
他の土地家屋調査士会は土曜日開催が多いのですが、宮城会は伝統的に平日に研修会を開催しておりました。
明日は土曜日開催ですので、お間違いないようにお願い致します。
実際に、週休2日になって久しいのに、5日間しか無い平日を研修会に当てると、会員の皆さんも計画日程を組む際に大変難しいと思いましたので、今回は土曜日開催を計画しました。

明日の研修会は下記の2本立てです。
第1部は「最近の不動産登記法等の改正について」
第2部は「懲戒事例に学ぶ」

第2部のメイン研修の「懲戒事例に学ぶ」ですが、講師は岩手会の菅原会長に講師をお願いしています。
懲戒事例はあまり表に出にくいので、理解しにくい分野かも知れません。
何をすればどんな懲戒になるのかの実例を学びながら、日常業務で何に注意を払い、何をしなければならないかを再確認したいと思います。
明日はこの分野を良く勉強なさっている菅原会長から、具体的な事例が解説されますのでご期待ください。

さて第1部の法改正について少しコメントさせてください。
近年の不動産登記法改正について、会員の中で細かいことについて、結構誤解があるように見えます。
おそらく実務上迷ったところだけを、その度に調べようとしているからかも知れません。

法改正には改正するための理由があるはずです。
その背景や大元の部分を理解すれば、法全体を把握するのが簡単で間違いがありません。
何故その改正が必要だったのか。その趣旨で改正するとすれば全体構成はどうあるべきなのか。
枝葉の条文だけをその度に調べているのでは、いつまでも理解できないと思います。

たとえば登記申請は、現在オンラインで申請することが原則になりました。
紙による申請は、あくまでも例外として認められています。
ですから、法改正前の紙による申請が原則の頃とは、同じ紙申請をしているようで、当然取り扱いが変わっている訳です。ここを理解していれば、各々の条文は理解できるはずです。
残念ながら、今も紙による申請を続けている会員には、その変化が理解できない人がいるようです。

オンラインで申請情報を送信するのですから、申請書副本はあり得ないのです。ですから従来の登記済証は別の形になった訳です。また固定資産税通知用の副本もあり得ないのです。
添付情報もオンラインで送ってしまうことが原則ですから、原本還付は例外扱いになります。
そのような流れで細かい条文が作られています。

オンライン申請は電子政府の流れから当然の方向です。これは国全体の方向で、法務省の登記制度だけの問題ではないのです。ですから表示に関する登記がオンライン登記に馴染まないと言っても、オンライン化は国の責務ですから、止めることは無いのです。

表示登記の世界で完全オンライン申請を制度的に完成させるには、どうしても添付情報を電子化する必要があります。その考えで「調査報告書」があるはずです。
それがまだ不完全なのは、残念ながら発生した過去の登記事故がトラウマになっているのかも知れません。土地家屋調査士だけが認められた調査報告書を、我々が磨き上げることにより完全オンラインの世界が開くことができる筈です。

新たな筆界特定制度は、有る意味登記所の生き残りをかけて導入されたと考えた方が制度上分かりやすいかもしれません。これは別の日にコメントしましょう。

また、登記特別会計が終わったことによって、会計上は登記の電子化はすべて終わったことになっています。その前提で考えると各種手続きの齟齬が理解できるかも知れません。

明日は近年の改正の中で、このような特に会員に誤解がありそうな部分を取り上げて解説する研修企画をしていますので、ご期待ください。