2020年2月3日月曜日

キャッツ 映画版

私はミュージカルが好きです。
たいていのミュージカル舞台は観ていますし、映画になったものも観ています。
もちろん「キャッツ」も観ています。
私が事務所で残業するときの定番は「オペラ座の怪人(25周年記念公演 in ロンドン)」や「キャッツ(2013)」などの映像をBGVとしてかけっぱなしにすることです。

その「キャッツ」をトム・フーパーが映画にして、しかも評判が悪いとのこと。
まあ観てみましょうと行ってきました。

結論、私には十分楽しめました。





帰ってからどんな理由で評判が悪いかちょっと見てみました。

「ストーリーが分かりにくい」
「ストーリーがない」
「猫メイクのCGが気持ち悪い」
「映画にする意味が分からない」etc.

なんだそんなことですか。

ストーリー云々についてですが、もともとこのミュージカルの原作は、様々な猫の性格や人生(猫生?)を人間になぞらえたエリオットの詩であり、起承転結の分かりやすい物語ではないのです。だから次々と現れる猫の猫生を表現する歌と踊りを楽しむのが「キャッツ」の見どころです。ミュージカルが嫌いなら、この映画はこの点でつらいかも知れません。

猫のCGメイクについては確かに馴染みのあるものではないでしょう。
顔に猫メイクをせずにそのままにして、その他をCGで毛を生やしている姿は、誰も見たことのないものでしょう。
でも舞台の猫の衣装とメイクだって違和感があったはずです。それに慣れただけの話しだと思います。
映画の場合は舞台と違い顔をアップで見せることになるので、このような顔出し設定にしたのでしょう。
私は見始めてすぐに慣れました。少なくても「アバター」を観たときよりも早く違和感がなくなりました。
さらに、猫の行動学の専門家の監修を得て、動きが人間らしくなるとすぐに注意されたとのことで、皆の動きがより猫に見えました。尻尾の動きも自然で良かったですね。

映画化については当然賛否が有るでしょう。
舞台が完成形なのに何故映画が必要かという問いですね。
私はこれにも肯定派です。
他のミュージカルも舞台と映画がどちらも存在するものは多いです。
私は映画の方が好きだということではありません。
自分の好きなものを同様に好きな人がいて、その人なりにもっと良いものにしたいと思ったわけですから、それは良いことでしょう。
選択肢が増えることは否定しなくても良いでしょう。

いつも思うのですが、違和感のあるものを排斥しなくても、選択肢が多い方が楽しいでしょう。
その上で「今回の映画化が失敗だ」と思えば「私は舞台が好き」と言えば良いだけです。
それなら次の映画化を楽しみにしても良いでしょう。
舞台版だって配役も演出も少しずつ変わっているのですし。

今回の映画化に際して、原作に戻ってエリオットの詩から作り直すことも考えられたでしょうが、敢えて既に完成形である舞台を尊重して、それに手を加える選択をしたようです。限られた舞台の演出に映画の自由度を加えるというアプローチでした。
それが成功かというとやはり意見が分かれるでしょう。

少なくても私は楽しめました。
舞台版で熟知している猫の見せ場を「映画ではこう来たか」などと思い、ニヤニヤ(ニャーニャー?)して観ました。
なにしろ、各登場猫にバレエ、ダンス、歌唱、演技の第一人者をキャスティングしているのですから、十分楽しめました。
フランチェスカ・ヘイワードの優雅なバレエが猫に見えて可愛いし、まさかの雌猫設定の長老猫がジョディ・デンチでとても納得だったし、ジェニファー・ハドソンの「メモリー」の歌唱は感動ものだったし、書き始めたらほかにも見どころはいくらでも書けそうです。

本当に楽しかったですよ。
どちらが好きかと言われたら私も舞台版の方だと思いますが、この映画も動画として配信されたら買うと思います。
残業時には、舞台版をメインにして、たまに映画版を流す感じですね。
実は残業時の「オペラ座の怪人」も、たまには映画版(2004年)も流していますし。

猫好きなら、怖いもの見たさでいかがですか。