2016年9月4日日曜日

土地家屋調査士の顧客先と中心分野について

土地家屋調査士試験合格を目指している受験生から開業の相談がありました。
以下は、いくつかいただいた質問の中の一部です。

顧客先と中心分野について、以下のように考えています。
・顧客先は、主に士業(税理士、司法書士)。人脈より。
・中心分野は、主に土地。だが、少しは建物も!

土地家屋調査士だけではなく、あらゆる資格試験を目指す人にとって、開業後の事件受託の有無が最大の心配事でしょう。
その中でこのような質問がでることは、自然の流れだと思います。
この方は測量の経験があるとのことですので、土地の測量はイメージできるけれど、建物はまったく経験がないので、中心分野は土地と考えたのでしょう。
そして、たまたま税理士と司法書士に知り合いがいるのでしょう。

こんな趣旨でお答えしました。


受験しながらも気になるのでしょうね。
でも、今は土地家屋調査士試験に集中してください。
まずは合格して開業しないと、これらの問題は解決しませんから。

まず顧客先の話をしましょう。
まだ土地家屋調査士の世界に出てもいないで、顧客先の話しは難しいです。
今たまたま知り合いに税理士や司法書士がいるとしても、その税理士や司法書士の方々は、別の土地家屋調査士と仕事をしているはずです。
あなたが合格して開業したら、今付き合っている土地家屋調査士をやめて、あなたに変えると約束してくれたのですか。
あなたが合格したとしても、まだ専門家として実力が伴っていないうちに、あなたと仕事で付き合うのは、相手にもリスクがあるのですよ。
その税理士や司法書士が何らかの切っ掛けになるかもしれませんが、あなたの顧客先になるかは疑問です。
あなただけではありません。誰にでも顧客先の約束なんてありません。
合格していない人と約束する人などいません。
「開業したら君に頼むよ」というセリフもよく聞きますが、社交辞令に踊らされてはいけません。この社交辞令のために、方向性を誤った事務所の話をよく聞きますよ。
実力を付ければ、必ず顧客ができます。


次に中心分野の話しです。
まだ合格もしていないのだから、中心分野を決めることも難しいです。
まだ早いというより、「今から未来の可能性を狭めてどうするのか」と思います。
「中心分野は全部です」というつもりで勉強してください。
わからない分野を外して今できそうな分野だけを「中心」とするのは、専門家としてどうかと思います。
「理科が不得意だから私は文化系です」というレベルの会話はやめましょう。
本来土地家屋調査士は全部できなければなりません。
全部できてその上に「得意分野がある」と言うべきです。
また今「中心分野」や「得意分野」だと思っている分野があっても、専門家に要求されるものは時代によって次々と変わってきます。
だから、未だ見えて来ないどんな分野にでも対応するつもりでないと、専門家として長く生き残ることはできないと思います。

まずは心配しないで合格してください。
その後、また開業について相談してください。
プロとして得意分野を増やす勉強の仕方を教えますから。



測量もね、土地を法的に調査判断するための一要素なんだよ。
だから測量だけできても土地家屋調査士の業務はできないんだよ。