昨年12月10日に大阪で開催した「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンス」で「独立することに家族の反対があるので、会社を退職して事務所を開業することに躊躇しています」という相談がありました。
この相談は、昔からとても多くいただきます。
実際に自分だけではなく家族全員の人生にも関わってくることなので、家族も簡単には賛成できないでしょう。
ただし、これはたいていの場合「本人の腹が決まっていない」からなのです。
自分の迷いを家族のせいにして、決断できない言い訳にしていることが大半です。
ガイダンスや塾に参加してこの問題を相談された人に対して、私は「それは家族に失礼な話でしょ」と言います。
「私はどうしても土地家屋調査士になりたい。そのために資格試験も頑張って合格した。これから一人前になるまで、数年間は経済的にも時間的にも苦労させると思う。そこをなんとか我慢してくれ。もちろん必死で頑張って、1年でも早く一人前になって、将来は必ず君たちに楽をさせるから。」
そして、あなたが考えた土地家屋調査士になるための具体的な今後の動きを丁寧に家族に説明しましょう。
家族に頭を下げて、確信を持ってここまで説明したら、おそらく理解されると思いますよ。
あなたは、これが言えますか。
家族のせいにしている人は、自分が迷っているからこれが言えないのです。
あなたが無職でない限り、間違いなく数年は収入が下がります。
なぜなら、あなたが今何歳であろうが、現在の年収がいくらであろうが、ここからは新しい世界の一年生ですから。
スタートしたばかりの人が、そんなに収入があるわけないでしょう。
でもここからは年功序列ではないのです。
あなたが本気で頑張れば、家族に早めに還元することは難しくないと思います。
ネットだけを見ていないで、例えばあなたが開業しようとしている地域で頑張っている土地家屋調査士に実際に会って、リアルな情報を得ましょう。そして自分に確信を持てるまで考えてみましょう。
このように私が言うと、あなたは「会うと言っても、土地家屋調査士を誰も知らないので...」と答えるのでしょうね。そんなことじゃ、土地家屋調査士になっても、何の打合せも営業もできませんよ。社会人として礼を尽くしてアポイントを取れば良いのです。初対面のあなたに時間を取って相手をしてくれる先輩は、他の業界よりは多いと思いますよ。
そして熟慮した上で土地家屋調査士になることを止めても、私はドロップアウトだなんて思いません。もやもやをきちんと断ち切っただけ、次の新しい目標に向かって早く動くことができます。
熟慮した上で土地家屋調査士を目指すことに決めたら、自分の言葉で家族に説明しましょう。
事務所を開業したら上司はいません。全部自分が決断しなければなりません。
その結果何が起こっても家族のせいにはできません。
だからこそ自分の決断に責任が持てるようにしましょう。
応援しています。