2010年2月15日月曜日

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


高校野球、甲子園、女子マネージャー、
みなみちゃん

このキーワードだけで、心が騒ぐ世代が有りますよね。
そのキーワードが、いっぱい詰まっている本が出ました。
でも青春ラブコメ小説ではないのです。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著)

これにはやられました。よく考えました。これでドラッカーの解説本ですよ。しかも青春小説としても成り立っているのが凄いですね。おじさん世代として買うのがちょっと恥ずかしい(でも嫌いじゃない)「萌え系のみなみちゃん」の絵が表紙になっています。

私も年間相当数の講義をしているので、どうすれば分かりやすく教えられるかということは工夫しているつもりです。いろいろな世界を比喩に使いながら土地家屋調査士を論じています。しかしこの本の発想は凄いです。とても敵わないですね。

主人公みなみちゃんが野球部の女子マネージャーになったんです。
野球部もマネージャーも分からない彼女が本屋に行って、勘違いして買っちゃった本が「マネジメント」だったという話です。
あのピーター・F・ドラッカーの企業経営について書かれた世界の大ベストセラー「マネジメント」ですから、この強引な筋立てにかなり笑えました。

でもみなみちゃんは、実際にこの本をバイブルに野球部のマネジメントをやっていくのです。
マネージャーの資質、組織の定義づけ(野球部は何をすべきか)、顧客は誰か(野球部の顧客とは)、マーケティング(なぜ野球部か)を分析し、実際に専門家、成長、準備、資産、正当性、イノベーション、社会、目標管理、人事、規模、市場、成果などを一生懸命考えて実践していくのです。
結果は小説ですから、ここでは触れません。もちろん違和感が無いわけではないのですが、最後まで読ませる書き手は凄いと思いました。
ちなみに私、毎週結構本を読んでいるので、すべて最後まで読んでいるわけではありません。

「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」(林 総著)という売れた本があります。実はこれは当ブログで紹介するか迷った本でした。これも無理矢理物語の形を取っていますが、物語としては筋立てがあまり上手でなく、もともと入門書として書いても良かったものだと思いました。このシリーズは3部作で、経理から経営、管理会計と進んでいくものです。もちろん悪くないですよ。ベストセラーですし。

それに対して、今回紹介した「もし高校野球の女子マネージャーが・・・」は、小説としても書けています。みなみちゃんを応援しながらも、ドラッカーの言いたいことも大掴みで分かっちゃった良書と思います。

私はドラッカーを先に読んでいますが、この本読んでからドラッカーというのも有りだと思います。