2026年2月26日木曜日

資格を活かすも潰すも“経営次第”──土地家屋調査士の開業資金を考える

  「土地家屋調査士事務所の開業資金はいくらかかるのか」

これは私の鈴木修塾の中で本当によく聞かれる質問ですが、答えはひと言で言えば 「その人による」 です。


SNSでは「500万円」「700万円」といった数字が飛び交っています。

もちろん、それが“間違い”だとは言いません。

ただ、それはあくまでその人の感覚であって、全員に当てはまるわけではありません。

若くて修行の時間をしっかり取れる方(ただし、これから家族にお金がかかる方)と、定年前後で早く結果を出さなければいけない方(ただし、子育ては終わっている方)では、土地家屋調査士という新しい職業に向き合う姿勢も、必要な準備もまったく違います。


今までの経歴やスキルや年齢によって、狙うべき業務の方向性も違えば、必要な利益も違う。

そして、どこまでリスクを取れるかも人それぞれです。

だからこそ、自己分析をしなければ事務所の経営方針は決まりません。

経営方針が決まらなければ、かけるべき経費も決まりません。

それなのに、誰が書いたか分からないSNSの情報を鵜呑みにして、一律に開業を考えるのは本当に危険です。

私は、どなたでもそんなにお金をかけなくても十分開業できると指導しています。

実際に私の指導した人は、開業資金として数十万円で始めて、今もそこそこの収入を得ながら開業十数年になっています。


ここで、実際にあった新人の話を紹介します。

試験に合格したことで、親御さんが700万円を出資してくれることになった方がいました。

そして、そのほぼ全額で当時最先端のトータルステーションやその他の設備を買うと言うのです。

私は心配になり、「独立して仕事のあてはあるのか、お金が有るというなら生活費に残しておいた方が良い」とお話ししました。

すると彼は「持っていないと仕事が来ない」と答えました。

そんなはずはないのですが、結局私の話は聞かず、合格と出資の勢いのまま購入してしまいました。


順調にいけばよかったのですが、2年後、

「2回しか使っていないトータルステーションがあるのですが、誰か買ってくれませんか」

という話が回ってきました。

その方は今、調査士をやっていません。

もしかすると、こういう方がSNSで「調査士は食えない」とぼやいているのかもしれません。


調査士の資格自体は悪くありません。

むしろ、相当将来性があります。

私の周りを見れば、満足に近い状態で仕事をしている方が多いです。


一番の問題は、個人事務所であっても、それは「経営」であるということ。

ここを理解していない方が本当に多いのです。

「真面目にやっていれば給料が入る」

これはサラリーマンの考え方です。

土地家屋調査士として真面目に研鑽を重ね、真面目に業務をこなすだけではなく、

真面目に“経営”もしなければいけないのです。

せめて最低限の経営や経理の勉強はしてほしいと強く思います。


実際、土地家屋調査士という資格は、他の資格業の中でも相当将来性があると私は考えています。もちろん、ちゃんと勉強すれば、ですが。


明日から、鈴木修塾の”事務所開業・経営・運営”の講義が始まります

今回の受講者も、実にさまざまな経歴を持っています。

私は、土地家屋調査士を目指したすべての方に幸せになってほしいと思っています。

そのためには、当然全員に同じ教育をするわけにはいきません。

だからこそ、少人数の合宿形式で、一人ひとりに合わせた方向性と課題を提示しています。

今回も、それぞれに違う未来図を描いてもらえるよう、全力で向き合っていきます。





2026年2月23日月曜日

心が補助者でいるうちは、その先生を越えられない

 土地家屋調査士試験に合格し、将来的に独立開業を目指すなら、まず補助者として経験を積む――これは王道のステップです。

私自身も、その道を強くおすすめしています。

そして、できるだけ視野の広い先生に師事できること。

それは、あなたの可能性を広げるうえで非常に重要です。


しかし、どんなに立派な事務所に所属していても、あなたの心が“受け身”のままでは、経験は広がりません。

「勤めていれば、自然とスキルが上がっていく」

そう考えているとしたら、それは年功序列の会社員時代の感覚が残っているのかもしれません。

企業であれば、次のリーダーや社長を育てるという意識があるかもしれません。

でも、土地家屋調査士事務所はどうでしょうか。

あなたを“次のリーダー”として育てるつもりがあれば、先生は真剣に教えてくれるでしょう。

でも、現実には“単なる雇用”として扱われるケースも少なくありません。


もちろん、事務所のスタッフとして働くことが目的であれば、それは立派な選択です。

否定するつもりはありません。

ただ――もしあなたが「独立開業」を目指しているのなら、話は変わります。

その場合は、もっと意図的に、もっと能動的に学ぶ必要があります。


与えられた業務を、ただ“こなす”だけでは足りません。

今日の業務が無事に終わったとしても、もし条件が一つでも違っていたら、どうなっていたか。それを時間外でシミュレーションするのです。

「この条件が変わっていたら、どう対応すればよかったのか」

「何を調べておくべきだったのか」

そう考えることで、1回の経験を5倍にも10倍にも広げることができます。


補助者としては十分な1日だったかもしれません。

でも、開業を目指すなら、その1日を“開業レベルの学び”に変える工夫が必要です。


そして、忘れてはいけないのは――

あなたが開業したら、今の先生と“同じ土俵”で仕事をするということです。

そのとき、今の事務所と同じパターンで業務を受託できるとは限りません。

むしろ、違う条件、違う顧客、違う地域での対応が求められる可能性の方が高いでしょう。

だからこそ、補助者としての経験を“そのまま”受け取るのではなく、

「もし自分が開業していたらどうするか」という視点で、日々の業務を見つめ直してほしいのです。


いつまでも“補助者”として甘えていてはいけません。

心が補助者のままでは、あなたのスキルは開業レベルまで上がりません。

そして、心が補助者のままでは――その先生を越えることは絶対にできません。


開業を本気で目指すなら、まずは“心”を切り替えてください。

あなたが本気になったら、私は本気で応援します。


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今後の鈴木修塾開催予定(詳細は過去のブログを参照ください)

 土地家屋調査士 鈴木修塾〈土地業務編〉  

 4月16日(木)〜 4月19日(日)

 土地家屋調査士 鈴木修塾〈建物業務編〉  

 7月16日(木)〜 7月19日(日)






2026年2月18日水曜日

土地家屋調査士鈴木修塾4月(土地業務)申込み案内

今朝、土地家屋調査士の後輩から

「隣地所有者が署名押印をしないケースと、そもそもできないケース」について、2件の相談を受けました。

長年この仕事をされている方ですが、まだこの論点が整理しきれていないようでした。

おそらく、他業界からの実質的な下請けのような立場になってしまい、

お客様への提案も十分にできていないのではないかと思います。

こうした知識の不足は、業務の質だけでなく、

経営そのものに直接影響しますし、

場合によっては訴訟トラブルに巻き込まれることもあります。

彼だけでなく、同じような状況にある方々にも、

この状態から抜け出していただきたいと強く思っています。

3泊4日の土地業務塾で体系的な理論を学べば、

業務の見方が変わり、事務所の売上にも確実に影響が出るはずです。


土地家屋調査士鈴木修塾は、4月に「土地業務」、6月に「建物業務」を開催する旨を予告しておりました。すでに仮申込みの方もいらっしゃいますので、まずは4月開催の土地業務について詳細をご案内いたします。


《土地家屋調査士 鈴木修塾(4月・土地業務)》

〜裁判に耐えうる筆界の調査確認方法と具体的土地業務〜


① 日程

令和8年4月16日(木)13:30 〜 4月19日(日)13:00

事前研修(LINEグループ):3月初め〜塾開催前日まで

個別指導(電話等):受付当日〜塾開催前日まで随時

※個別指導は仮登録の方はすでに開始しています。

※今回は事前の個別電話指導を増やす予定です。

※毎回、北海道から九州まで全国からご参加いただいております。多くの方が当日移動で間に合っておりますが、不都合があればご相談ください。

※集合研修は3泊4日ですが、その前にLINEグループによる事前講義を行います。また電話による個別電話指導も行います。

※講義終了後も、業務上の疑問に継続してお答えする長期サポートを行っています。

※合格前の方も新人でも“落ちこぼれゼロ”を目指し、ベテランでも必ず業務や方向性のブレイクスルーを得られる講義と思います。不明点や不安があれば遠慮なくメールや電話でご相談ください。


② 場所

エスポールみやぎ(宮城県青年会館)

〒983-0836

仙台市宮城野区幸町4丁目5-1

TEL:022-293-4631

(会議室・宿泊・研修・会食が同一施設内で可能です)


③ 受講料

137,500円(税込)※宿泊・飲食は別途

※集合講義の1か月前(3月16日)までにお支払いをお願いしております。

※お支払い方法についてご事情がある場合は、遠慮なくご相談ください。


④ 参加登録方法

受講をご希望の方は、以下のメールアドレスへお申し込みください。

宛先:鈴木 修

メール:mucha@rr.iij4u.or.jp

※件名は「鈴木修塾4月(土地業務)受講申込み」など、内容が分かるようにお願いします。


⑤ 申込み締め切り

LINEグループでの事前講義が3月初めから始まること、

またテキスト準備の都合もありますので、

基本的には3月20日頃を締め切り といたします。

テキストは毎回、参加者アンケートをもとにカスタマイズしていますので、早く参加予告していただければ、より自分のための研修内容になるとお考えください。

力量によっては事前研修を省略して4月直前からでも間に合う場合があると思います。

開催直前に参加を検討される場合は、電話等でご事情を伺いながら、参加が有益かどうか一緒に判断いたします。どうぞ遠慮なくご相談ください。


⑥ 講義内容

独学や先輩への質問だけでは身につかない、

根本的な法理論に基づく業務の考え方、

他業界に振り回されない普遍的な業務受託・処理方法

を徹底的に学びます。

サブタイトルのとおり、土地家屋調査士業務ではトラブルに巻き込まれることがあります。

境界立会・測量・署名捺印といった“表面的な手順”だけで進めていると、

法的な問題点に気づけないまま業務が進んでしまう危険 があります。

事務手続きだけの補助者や、疑問が出るたびに地元の先輩へ聞く程度では、何年やってもなかなか身につかない内容を体系的に説明します。

過去には、試験合格前の受験生から、調査士歴30年前後のベテランまで参加されていますが、皆さんから高い評価をいただいております。

どのレベルの方でも付いてこられる内容に工夫しています。

合格したけれど何らかの理由で補助者に行けない方は歓迎いたします。

また、事前のLINE研修と個別指導で、必要な基礎知識と勉強方法もお伝えします。


⑦ 宿泊について

合宿所として、会議室と同じ エスポールみやぎ を推奨しています。

もちろん、宿泊はどのホテルでも構いません。

ただし、エスポールみやぎは格安で、

毎回、夜は皆さんが私の部屋に集まって議論したり質問に答えたりしているため、

深い学びができる点、一生の仲間作りの点、移動時間・交通費の節約という点でも便利 です。

エスポールみやぎでよろしければ、まとめて予約します。


⑧ お問い合わせ

不明な点は、下記まで遠慮なくお問い合わせください。

土地家屋調査士 鈴木 修

メール:mucha@rr.iij4u.or.jp

電話:022-215-1655




2026年2月15日日曜日

ZEBRA フィラーレ・ディレクション

既存のアイデアを改良・改善していく作業には、コンピューターによるデジタル処理が向いていることが多いと思います。

しかし、ゼロから何かを生み出すとき――私はアナログの力を信じています。


以前にも書きましたが、できるだけ大きな紙に、できるだけ滑らかなペンで、ぐるぐると落書きするように文字や絵や図を描く。

そんな“手書きの時間”が、創造の源になると感じています。


紙の端まで書き進めると、思考がいったん途切れる。

だから、紙の大きさが思考の広がりに影響する――そう考えているので、私はスケッチブックを使っています。

どんなインクでも裏抜けせず、水彩絵の具さえ受け止めてくれる。しかも安価。

創造のキャンバスとして、これほど頼れる紙はありません。

またスケッチブックは大きなものから小さなものまでバリエーションが豊富で、用途によって選べるのも魅力です。

土地家屋調査士 鈴木 修 ブログ: クリエイティヴ・ツールとしての手書きの重要性


では、ペンはどうでしょうか。

思いついたことをリアルタイムで書き殴るには、インクが滑らかで、ぼた落ちせず、紙に引っかからないペン先が理想です。

この条件を満たすのが、サインペンです。

以前は万年筆が最適だと思っていましたが、ZEBRAの「フィラーレ・ディレクション」が登場してからは、私の“創造の相棒”はこのペンになりました。


高級感があって、見た目も格好いい。

それだけでなく、機能面でも優れています。


一般的なサインペンの弱点は「乾きやすさ」ですが、このペンのインクは「モイストキープインク」。

サインペンなのに、キャップをしなくても乾かないのです。

なんと、空気中の水分を吸収するインクだそうです。


考えながら手が止まるたびにキャップを閉める――その動作が思考を遮ってしまうことがあります。でも、このペンならその心配がありません。

さらに、ペン先は0.6mm。サインペンにしては細めで、繊細な線が書けるのも魅力です。


今回のテーマとは少し外れますが、誰かの文章や図面に訂正やコメントを入れるときにも、このペンは活躍します。(ディレクションですし)

インクの色と太さが、ボールペンとは違う“目立ち方”をしてくれるのです。


ちなみに、このペンのインクカートリッジには蛍光インクもあります。

下の写真の白い軸のペンのインクは蛍光ピンクです。

もちろん蛍光イエローのインクも選べます。



高級感があり、持ち歩きやすい細めの蛍光マーカーを探している方には、ぜひおすすめしたい一本です。






2026年2月11日水曜日

土地家屋調査士鈴木修塾の2026年の開催予定です

土地家屋調査士試験に合格された皆さん、そして現役の土地家屋調査士として実務で日々奮闘している皆さん、今年の鈴木修塾の開催日程が決まりましたので、まずは予定だけでもお知らせいたします。

毎年、仕事や家庭の予定を調整して参加してくださる方が多いため、できるだけ早めにお伝えしたいと思いました。今年は現時点で以下の講座を準備しています。


■ 開催日程(すべて仙台)

① 土地家屋調査士鈴木修塾〈事務所開業・経営・運営編 〉  

 2月27日(金)〜 3月1日(日)


② 土地家屋調査士 鈴木修塾〈土地業務編〉  

 4月16日(木)〜 4月19日(日)


③ 土地家屋調査士 鈴木修塾〈建物業務編〉  

 7月16日(木)〜 7月19日(日)


仮予約をいただければ、塾の開催までの期間を使って個別指導ができます。

これまでも早めにお声掛けいただいた方には、塾の開催まで同じように電話やLINEで個別にサポートしてきました。時間が一番大事です。何事も早めに正しい方向へ努力を始めた方が確実に伸びますので、気になる方はご遠慮なくご連絡ください。

今年もそれぞれの塾が、皆さんの実力を一気に引き上げる濃い時間になるはずです。

また、研修現場を設定する難しさはありますが、数人まとまれば仙台以外での開催についても相談に乗りますので、ご遠慮なくお声をかけてください。

詳細は改めてお知らせしますが、まずは予定に入れておいてください。
全力応援いたします。







2026年2月8日日曜日

合格後の最初の決断で後悔しないために

土地家屋調査士試験に合格した皆さん、本当におめでとうございます。

長い受験生活を乗り越え、ようやくスタートラインに立ちました。

合格直後の今、多くの方が同じ悩みに直面します。

「いつ辞表を出すべきか」「どの事務所で補助者をすべきか」「早く動いたほうがいいのか」。先日も、Oさんから「今月の合格発表を待って、すぐ辞表を出して、土地家屋調査士事務所の補助者になりたい」という報告を受けました。

その気持ちは痛いほど分かります。合格直後は、誰もが勢いよく前に進みたくなるものです。


ただ、一つだけ覚えておいてほしいことがあります。

「退職して補助者になる」という行動は、目的ではなく、あなたの未来をつくるための「選択」だということです。

独立を目指すなら、まず考えるべきは「どこで働くか」ではありません。

「自分はどんな土地家屋調査士として生きていきたいのか」です。

ここが曖昧なまま動くと、どれだけ真面目に働いても、必要な経験が積めないことがあります。


建物登記ばかりの事務所、敷地調査ばかりの事務所、ほぼ測量会社のような事務所、特定の取引先に特化した事務所。

各事務所には特徴があります。どれも事務所として価値ある仕事です。

しかし、それがあなたの目指す姿と一致しているかどうかは別問題です。

補助者として働く期間は、会社員のように「与えられた環境で年数を積めば次のステージに進める」世界ではありません。

むしろ、何を学ぶか、どんな経験を積むか、どんな姿勢で臨むか。

これらを自分で選び、自分でつかみにいく期間です。だからこそ、そこをよく考えずに勢いだけで辞表を出すのは危険なのです。


辞表を出す前に、一つだけやってほしいことがあります。

それは「自分の未来を紙に書き出すこと」です。

頭の中だけで考えていると、勢いと不安が混ざって判断がぶれます。

紙に書くと、自分の本音が浮かび上がり、選ぶべき道がはっきりします。


その道が見えれば、以前のブログでお伝えした「逆算思考」で進路を選ぶことになります。

ただし逆算する前に、今回はその前に必要なステップをお話しします。

それは「自分の棚卸し」です。

あなたは、何が得意で、何が苦手で、どんな働き方をしたいのか。どんな地域で、どんなお客様と関わりたいのか。

これらを言語化すると、事務所選びの軸が自然と見えてきます。

逆算は、その後でないとできないと思います。


独立を目指す道は、誰にとっても初めての道です。

迷うのは当然です。

辞表を出すタイミング、事務所選び、補助者としての学び方…どれも人生を左右する大きな選択です。

そこまで考えてみて、もし判断に迷ったら、遠慮なく私に相談してください。

あなたが土地家屋調査士として羽ばたくその日を、心から応援しています。