2018年7月23日月曜日

どんな事務所に入っても意識がなければ実力が付かない

今日私の事務所に新人X氏が業務の相談に来ました。
自分で測量して自分でCADを使って作成した図面を持ってきました。
何の相談かというと「測量してみて境界に疑問が出た」ということでした。
話を聞くと、書証つまり各種資料の解析ができていないようでした。
X氏は宮城でもしっかりした仕事をする事務所に勤めた経験の有る補助者でした。
その事務所の先生は教え方も悪くないはずです。
ところが、彼の質問は、私にとって「そのキャリアでこの疑問はないだろう」と思う内容でした。正直驚きました。

私はこれまで「補助者になるなら、まず事務所を選べ」と言ってきましたが、「事務所を選んでも、学ぶ意識の無い人は実力が付かない」という当たり前のことが、今日本当に分かりました。

結局、実力があり、教える能力のある先生であっても、質問もされなければいちいち教えないのです。
補助者は給料をもらって、土地家屋調査士のアシスタントをする仕事です。土地家屋調査士には給料を払う義務はあっても、教える義務はありません。
私のように道楽で他人に教えたい人間は少数派なのでしょう。
だから、将来独立開業を目指す補助者は、先生を見ながら自分の不足している分野を分析し、勤務時間外で勉強して疑問点を見つけ、質問しなければなりません。
X氏の勤めていたその事務所では、資料の解析はその先生がやるので補助者のX氏は意識しなくても良かったのでしょう。おそらくX氏は測量やCADだけを担当してきたのでしょう。
しかし、彼に独立開業する望みがあったのなら、何故それで満足してきたのか、私にはまったく理解できません。

補助者は将来土地家屋調査士として独立するためのステップのはずです。
よほどその土地家屋調査士個人が好きで、その先生の元で働きたいということでなければ、土地家屋調査士事務所の補助者を一生の職場としてはお勧めしません。
なにしろその先生は補助者より年上で先に引退するはずですから。
給料をもらい始めると勘違いするのでしょうか。

また「もう独立すべきだと思うキャリアの補助者なのに、いつまでも独立しない」ということもよく聞きます。本人に尋ねると「実力不足で自信が無い」とのことです。では、あと何年勤めたら自信が付くのでしょうか。

補助者は、何年で何を学んで、何年で独立するのか、計画を立てる必要があります。
どうすればその年数で実力を付けられるのか、真剣に考えなければなりません。
その計画も立てられないのならば、資格試験に合格してもお客様の役には立たないでしょう。

何故自分の未来に真剣になれないのでしょうか。残念です。