2013年1月9日水曜日

007スカイフォール

007は第一作から全巻DVDを持っています。
なにしろ大きくなったらMI6に就職して、スパイになろうと思っていた私ですから。
歴代のボンドカーやあのスパイの秘密兵器(このレトロな響き)にときめきました。ボンドガールにときめくには少し幼かったようです。
ただ今考えると、私は本当はボンドに成りたかったのではなく、あの秘密兵器を作るQに成りたかったのかも知れません。

歴代のボンドでは、私にとってはやはりショーン・コネリーがダントツです。だから高校生の頃真似して、ワイシャツを素肌に着ていました。馬鹿ですね。
私の中にはそのショーン・コネリーが強烈に残っているので、今のダニエル・クレイグは三作目になるのに未だに馴染めません。確かにアクションも現代的リアルさを持っていて、ドラマも文句無いですよ。でも"I'm Bond. James Bond."って台詞がなければ、007映画でなくても、別のスパイ映画でも良くなる映画なんですね。
歴代のボンドは、本当に危機が迫っている場面でもオシャレな会話をしているもので、上質なスーツを着て素敵なボンドガールをボンドカーに乗せて「スパイとは思えない」キザな目立つ態度を取っているものです。
その立ち振る舞いこそが説明無しでも007であり、ジェームス・ボンドでした。
それに比べると、どうもダニエル・クレイグは、むしろ初期のボンドの敵役のロシアのスパイのようです。

そのダニエル・クレイグ主演の第三作目で007シリーズ50周年記念の「スカイフォール」を観ました。
そこまで文句言うなら観なければ良いのですが、MI6に転職を画策している私としては、すべての007映画を押さえておかなければならないミッションを持っています。
とりあえずチェックしました。
いや、確かに面白いのです。グランバザールの屋根の上でのオートバイのチェイスなど気に入るシーンもたくさんありました。

映画そのものは、「古い歴史を持っているものが現代でも価値を持ち続けるのか」というテーマが含まれています。
直接的には、MI6という情報機関が今の時代に必要かという問題と、その機関のボスであるM個人がもう引退すべきではないかという問題が描かれています。どちらも昔は大活躍したかもしれないけれど、今の時代にはもう不要ではないかと映画の中で問われるのです。
それは、取りも直さず50周年を迎える「007シリーズ」が今の時代も通用するのかという隠れテーマでもあるようです。

そこには、昔からこのシリーズを観ていないと意味が分からない楽しみが散りばめられています。たとえば、アストン・マーチンとそのシフトノブの中の赤いボタン、ワルサーPPK/S、ドライ・マティーニなどのボンドを象徴するアイテムにはニヤニヤしてしまいます。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、最後に懐かしい「マネーペニー」も出ます。このシーンは嬉しかったですね。
その反面、今回の007は、ガンバレル・シークエンスが最初に来ない、ひげ面で動き回る、ボンドガールとの絡みが少ないなど、今までのセオリーをかなり破っています。一番の違和感は、今までのボンドは敵のアジトに乗り込んで敵を壊滅させるという攻めるストーリーが定番なのに、今回はひたすら守るボンドであることです。
昔からのファンの若干の嘆きも知りながら、それも含めて新しい007を作っていく姿勢が、今のダニエル・クレイグに象徴されているのでしょう。今後新たな50年を生きていくシリーズにするなら、それも必要な決断なのでしょう。

そういえば60周年を超えて新しいステージに脱皮しようとしてもがいている業界が有りましたね。あそこも懐古趣味だけでは先が有りません。新たな決断が必要ですね。

今回の敵がボンドに「お前の趣味は何だ」と聞いたときに、ボンドはこう言いました。
「resurrection − 復活・再生」