2012年7月22日日曜日

技の伝承について

先日の「コミュニケーションが苦手な業界」について、下記のコメントを戴きました。
佐藤様にはコメント感謝します。
返事を書かせていただきたいと思いましたが、コメント欄としては少し長くなりそうだったことと、読んで同じ思いをされた人がいらっしゃったら、大変申し訳なく思いましたので、もう少しここで私の考え方を書かせていただきます。

<戴いたコメント>

愛媛会の佐藤です。まだまだ大変な時期だと思いますが、遠くにいますが心は一緒に感張りたいと思います。

さて”俺の技を見て盗め”は私も言われ、後輩や補助者にも言ったことはあります。
この言葉の意味には、技を磨いてきたその人の態度、姿勢、思いなど、深いところでは人生をも含んでいるのかもしれません。
ある言葉を理解するとき、思考だけでなく心で感じるものもあるように思えます。
余計なことで失礼だったかもしれません。ただ、先人が残した言葉の面目を保つために一言。

<返信>

佐藤様
コメントありがとうございます。
また被災地に対し、ご配慮戴いて感謝します。

先日のブログの私の文脈からご不快な思いをされたなら大変申し訳なく思います。
そもそもコミュニケーションについて書いておきながら、不用意な表現で読んだ方に思いを伝えられないなら、私自身がこのブログを書く資格は無いのかもしれません。
お詫びを兼ねて、もう少し私の考え方を書かせていただきます。

もちろん、この言葉の真の意味は知っているつもりです。
佐藤様のおっしゃるとおり、後輩達に伝えるべき技とは、技術だけでなく、魂、生き方も含めたもので無ければならないと思っています。
これは、どんなに言葉を重ねても、他人に伝えきることがとても難しいもので、おそらく見て学ぶ部分は必要なのでしょう。

でもだからと言って、言葉は尽くすべきだと思っています。
たとえ技を伝承する相手が一人であっても、最初に体系的な指導計画を立て、その計画に基づき、言葉を尽くして教えて、それでもその先に「見て盗む」というところが有ると、私は思っています。まあこの『盗む」という表現も好きではありませんが。

お気に触ったら申し訳ありません。
全国の真摯な職人気質の方々を中傷するつもりではありません。

ただいつも、我々の世界は道を究める努力をしているだろうか、そしてその道を本気で後輩に教える努力をしているだろうか、と思っています。
後輩に本気で伝えて行かなかったら、我々の業界が廃れてしまうと思っています。
その部分を書きたかったのです。

私は「60点の人は50点、40点の人の役に立てる」と考えて、いつも動いています。でも、私の持っている僅か60点の部分だけでも、見てもらうだけでは伝わらないと思っています。
ですから、なんとか後輩に伝えようと努力しています。

私が本を書いたり、毎週のように休日返上し、全国に伺ってお伝えしようとしていることは、まさに土地家屋調査士の魂や生き方も含んだものと考えています。

おそらく佐藤様は、このコメントをくださっているくらいですから、本気で後輩達に自分の技を伝えていることは間違いないでしょう。表現の仕方が違うだけで同志だと思います。また懲りないでブログにお付き合い願いたいと思っています。