2012年7月3日火曜日

異能のプロ集団

月刊登記情報608号(2012年7月)に寳金敏明先生が、「土地家屋調査士-異能のプロ集団」として、私たちの仕事を紹介してくださっています。

寶金先生は、東京法務局長や最高検察庁検事を歴任された方で、法的立場で、土地の境界についても各地で講演をされている先生です。宮城でも以前講演していただいています。

主な著書の『里道・水路・海浜[第4版]』(ぎょうせい)や、『境界の理論と実務』(日本加除出版)は、皆さんも読んでいるでしょう。

登記情報では以下の表現で土地家屋調査士を語ってくださいました。
是非読んでみてください。

土地家屋調査士は表示登記にかかる法的手続きを実践する法律実務家としての側面のほかに、筆界判定に要する各種の専門知識を総動員して境界の病理現象を把握し、その歪みの是正を図るという側面がある。
「境界・地図の医師」とでも評すべき職能である。

長年私たち業界を見ていただいている寳金先生の言葉です。
時に古文書や古地図等から古文書学の知識を用いて筆界情報を読み解き、その筆界が生成した時期における測量技術の精粗を測量学の知識を用いて判断し、空中写真をオルソ画像化したものを用いて3次元的に境界の位置を判定し、大震災の折には、ポテトチップ上になってしまった土地についても地理学・測量学の知識で境界情報の復元(変更)と地積更正(訂正)を実施する。
さらには公差を超えた高精度の筆界点を把握するために、最小二乗法を用いて地図情報と現況の乖離の有無を読み解き、あるいは公共基準点を超えた精度を持つ筆界測量の基準点を自ら創設し、その維持管理を行う・・・。
そのような広範かつ深い専門知識と技能が要求され、それを実行している類似同業は他に無く、文字どおりオンリーワン、異能のプロ集団と言えましょう。

土地家屋調査士法第3条の業務を誠実に担当してきた私たち業界が60年間蓄積した多くのノウハウは、今登記を超えて、様々なニーズに応えています。

しかし世間は登記の側面だけで土地家屋調査士を判断しがちです。

寶金先生は、そこを良く分析して、分かりやすく解説なされています。
これらは、机上だけで無く、実際に私たちの今の姿をよくご覧になっている寳金先生だから言える言葉でしょう。

その後に土地家屋調査士に行って欲しい仕事を挙げてくださっています。

筆界の認証、重要事項説明書における境界情報明記、筆界情報の管理・認証、集団和解もできない土地の解決・・・。

一度読んでみてください。
ここに近未来の土地家屋調査士が活躍できるニーズが的確に示してあります。
私たちはこれに応えなければなりません。

さて、近年土地家屋調査士は「喰えない資格」と言って、受験者が減っています。
それは、この職業を分かってないからです。
ドロップアウトしていく人はどの職業にもいます。
そのドロップアウトする人を見て喰えないというのか、実際に活躍している土地家屋調査士を見るのか、わずか数人の土地家屋調査士を見て、すべてを分かったつもりにならないで欲しいと思います。

資格試験では主に登記実務能力が問われ、上記のようなノウハウはどこにも要求されていません。でも土地家屋調査士は合格してから、皆このような能力を身に付けるのです。
その勉強を放棄して、目先の営業に走れば、絶対に先は見えています。
この資格は、実際に「勉強して本当に実力が付けば、喰えるようになる」という凄くわかりやすい資格でもあります。
その努力するつもりが無い人は、受験せずに会社員でいる事をお勧めします。
資格者を目指す人は実力の世界を望んでいたはずです。
土地家屋調査士でない寶金先生が、ここまで書いてくださっています。

新人達は、まずはこの「異能」を身に付けてください。
そして、皆で近未来を築き、更にその先を目指しましょう。