明日、岩手県土地家屋調査士会で研修会の講師をさせていただきます。
新型コロナウィルスにより研修会の開催が難しい中、岩手会も会場とオンラインと併用して研修会を開催するようです。岩手会の工夫とやる気に敬意を表します。
今回のテーマは「土地家屋調査士が知っておくべき土地区画整理事業のしくみ」です。
土地区画整理事業は、土地家屋調査士にとっても司法書士にとっても身近な事業ですが、身近だからこそよく知っているようで逆に誤解されやすい部分が多いようにも見受けられます。そのしくみをきっちり理解をしている専門家はとても少ないと感じています。
土地区画整理事業は、長い期間を必要としかつ広範囲を施行するので、その近隣の土地家屋調査士や司法書士は何度も土地区画整理に関する経験を積むことになります。
しかし、よく考えてみれば、何回も経験したと思っているそれらの経験は、そのたった1つの事業の経験でしかありません。
そのわずか1つだけの経験に頼り、他の土地区画整理事業に関しても分かったつもりで、受けた相談に軽々に回答することはとても危険です。
実際、地権者の区画整理に関する相談に対して、他の土地家屋調査士が不正確な答えをし始めたところに同席したことがありました。冷や汗が出ました。
区画整理事業がらみの争いは結構あります。わずかな経験だけで答えることはとても危険です。
もちろん区画整理事業に関してだけではなく、あらゆることでプロはわずかな経験だけで「もの」を語らず、条文に戻り、深い理解をする必要があります。
明日の研修会に関して、岩手会の会員には事前の宿題を出しています。
宿題はもちろん答えが出なくても結構です。
研修会前に考えてみたかどうかで研修効果が変わります。
以下に書き出しますので、興味のある方は知識をチェックしてみてください。
専門家として以下の質問をされたら答えられますか。
Q1)区画整理地内に入れられたが不満だ。反対すれば良いのか。
Q2)区画整理地内の地権者全員が反対でも施行される区画整理があるのか。
Q3)仮換地と保留地と従前地と底地の違いはなにか。
Q4)清算金や賦課金、減価補償金とはなにか。
Q5)従前地を売買したいのだがどうすれば良いのか。また気をつけておくことはあるか。
Q6)買った保留地を転売したいのだが、どうすれば良いのか。
Q7)融資を受けて仮換地に建物を建てるときに、土地の担保はどうすれば良いのか。また保留地ならどうすれば良いのか。
Q8)区画整理事業で従前地はすべて測量するのか。
Q9)区画整理地内はすべて創設的筆界だから基本的に境界争いは無いか。
Q10)仮換地の分筆登記の方法はどうするか。
Q11)仮換地の地目変更登記はできるのか。
Q12)仮換地や保留地上の建物表題登記はどうするのか。
Q13)仮換地上の区分建物の敷地権はどう考えれば良いのか。
Q14)保留地上の区分建物の敷地権はどう考えれば良いのか。
Q15)従前地はいつ新しい地番になるのか。
Q16)仮換地時に登記された建物の敷地地番は、いつ誰が新しい地番に変更してくれるのか。
Q17)換地処分に伴い所有権者の住所が変わった場合は、その所有権名義人の表示はいつ誰が変更してくれるのか。
Q18)換地処分で登記識別情報は発行されるのか。