2021年2月8日月曜日

修業先と就職先は区別して考えなさい

土地家屋調査士の最終合格発表は今週ですね。筆記試験のままであれば、今年は仙台管区(東北)で28人です。

東北ブロック協議会では3月27日(土)に開業ガイダンスを開催します。東北の合格者には直接ご案内が届くはずです。これも講師は私が担当しますが、主催は東北ブロック協議会ですから、東北の合格者限定になります。懇親会も予定していますが、もちろん、コロナの状況を見ながらの開催です。突然の中止や延期も有り得る前提ですのでご了解ください。

その他の地方の合格者のためには、私主催の開業ガイダンスを開こうと思っています。

さすがにコロナの緊急事態宣言の中では無理ですが、合格者の皆さんの将来がかかっていますので、できるだけ早めに開催したいと思っています。


さて、そのガイダンスで丁寧に説明するつもりですが、このブログで急いでお伝えしたいことが、合格後の修業先としての土地家屋調査士事務所のことです。すぐに土地家屋調査士事務所に就職する人もいるでしょうから急いでお話ししたいと思います。

まずは実務経験が無いのなら、できる限り土地家屋調査士事務所で働きながら勉強すべきです。そしてその土地家屋調査士事務所はどこでも良いとは言いづらいのです。

皆さんが独立をめざすなら、今回の土地家屋調査士事務所への就職は、単なる補助者としての就職ではなくなりますので、就職と修行は区別して考えた方がよろしいと思います。


「できるだけ楽して、たくさん給料は欲しい。そして勉強は教えて欲しい」これを客観的に見て、この人は何を言っているか分かりますか。

いつも書いているように、事務所側には雇う目的があります。それは間違いなく合格者に勉強を教えたいためではありません。事務所で働かせるためです。事務所が給料を払うのだから当たり前です。その当たり前が何故か合格者には分かりません。

早く独立したいのなら、学ぶことができる環境を優先して捜してみてください。

募集している事務所ならどこでも良いと思って応募すると、その事務所で飼い殺しになる可能性もあります。教えると言いながら、実際は「経験から学べ」という事務所もあるでしょう。そうなったなら独立できる実力が付くまで何年かかるか分かりません。


事務所の選び方として参考になるかも知れないことを申し上げます。

何かと募集をしている事務所は、何かと人が辞めている事務所です。そんなに毎月毎月人が必要になるほど急拡大するような時代でも業界でもありません。常に募集していることについての明確な理由が無い限り、お勧めしません。

また大きな事務所への就職は、組織の歯車の一つとしての働きを求められることが多く、結果として仕事全体を見る機会が少なくなるかも知れません。

元々合格したら大きな法人などに就職したかったということなら良いでしょうが、独立をめざすのなら得策とは思えません。就職を決める前にこの点を事務所としっかり話し合う必要があると思います。

逆に小さな事務所は、その先生の能力と相性次第で、当たり外れが大きいでしょうね。

どちらにしても難しいことは、事務所のトップがどれだけ勉強を続けているのか、そして教える気があるのか、教える気があるとしても教える能力があるのか、でしょう。

難しい点は、それらは実際に事務所に入ってみないと分からないという点です。


皆さんは「事務所を選べと言われても、相手が募集していないのだから」と言うでしょうね。

別に募集していない事務所でも、こちらから相談に行っても良いと思いますよ。もちろん社会人として失礼の無いように、時間も考えて、アポイント取った上でです。

当然電話した時点で断られる可能性がほとんどです。事務所としても募集をしていないのですから。しかし待遇の良い条件の就職先を探すのではなくて、修業先と考え直せば、まったく無いとも言えない気がします。

事務所に相談に行けば、そこの土地家屋調査士が話を聞いてくれる可能性があります。もしかしたら不定期のアルバイト程度は何とかなるかもしれません。

そこでその事務所の先生の人柄や相性が分かるかもしれません。熱心さが伝われば、雇わないと言っていた先生の気が変わるかもしれません。


生きていくのに給料はこだわりたいという気持ちは分かります。ただそれにこだわり過ぎたら独立開業が遅くなるおそれがあります。

事務所を選ぶべきです。そして事務所と話し合いをすべきです。

頑張って早めに実力を付けて独立開業をして、取り戻せば良いだけだと私は思います。