「7月22日事務所開業・経営ガイダンスin金沢」が終わりました。
6月29日に突然思いついたこのガイダンスですが、土地勘の無い金沢で、開催まで1か月もなく、告知がこのブログだけですので、参加者がまったくいないかも知れないと思っていました。
結局、受講参加者4名とオブザーバー2名が福井や長野からも参加してくれました。
今回は私も入れて7名なので、大きな会議室は不要で、ファミレスで顔を突き合わせて会話するスタイルを取りました。
開業の仕方、事務所の設備、実力の付け方、業務受託の方法、業務処理の方法、報酬の考え方等々、説明することができました。
初めての試みでしたが、個々の質問や相談には、すべてきめ細かく答えることができましたので、このスタイルも良いなと思いました。
今回の参加者も、皆さん前向きな方々でした。
しかし、それでも毎回受講者に感じることは、「自分で取りに行かない」「何か待っている」という印象でした。
組織を抜けて個人事務所を開業するということは、これから誰も指示してくれないということです。全部自分で判断して行動しなければなりません。
分からないことは自分で調べて、足りないことは自分で工夫して取りに行かなければなりません。
時間が何かを解決するとでも思っているのでしょうか。
個人事務所で分からないことがあれば、それを時間が解決することはありません。
そんな甘ったれた考え方をリセットしなければなりません。
経験が無く不安な顔をしている土地家屋調査士に仕事は来ません。
だから待っていても経験は増えません。
何故仕事を受託しないと経験を積めないと考えるのでしょうか。
補助者の方は、事務所の先生に仕事を与えられるまで何年でもひたすら待っているのでしょうか。
そもそも、お客さまで練習をするつもりなのでしょうか。
「仕事が来る前に経験を積む方法があるでしょう」と伝えました。
実際、個人で業務の経験を積む方法はいくらでもあります。
私は仕事が無い頃に、昼間は公園を測量してトレーニングを積み、それ以外の時間にアルバイトをして、夜に法律書を読んでいました。
当時は、ただ単純にトランシットを触ったり法律書を読んでいたのではなく、具体的な仕事を意識して、同じ公園を測量するにしても毎日違う課題を持って様々なシミュレーションをしていました。
今回の受講者には「若いうちは3日くらい徹夜しても死にません」と伝えました。
もちろん根性論だけ振り回すつもりはありませんが、少しは根性も見せて欲しいと思います。
「建物登記の経験が無いのなら、自宅の登記をまとめてみても良いのではないか」と伝えました。自宅はおそらく登記されているでしょうから、法務局に申請する直前まで作れば良いのです。
「測量ができなければ、公園でも河原でも測量してみたら良いでしょう」と伝えました。測量の業務を受託しても、実際は資料調査や隣接者との立会などで時間がかかるのですから、純粋な測量作業に取られる日数は大したことがありません。
だから、典型的な土地家屋調査士の個人事務所なら、測量業務は1か月に数日ではないでしょうか。だから、毎日測量練習をしたら、先輩の5〜6倍の経験を積むことになります。
まもなく追いつくでしょう。
「測量はできるけれど筆界調査が苦手というのなら、自宅や所有地の境界確定をしてみたら良いでしょう」とも伝えました。
「寝た子を起こして、近所付き合いが悪くなるかも知れないけれど(笑)」とも付け加えましたが。
今やることはたくさんあります。
常に意識していれば、どんな環境でも勉強はできます。
ファミレスでのガイダンスが終わってから、例の散歩をしました。
皆で金沢の街を少しだけ歩きました。
歩きながら、いろいろ議論しました。
「あの建物はどこまで床面積に入るか?」
「あの自走式駐車場の外気分断性はあるか?」
「この土地の境界はどこまでだと思うか?」
「その根拠は何か?」
「あの塀まで目測で何メートルか?」
「あの塀まで歩測で何メートルか?」
「この境界標は何を示す為に設置されたものか?」
「この金属鋲はどんな目的で設置されたものか?」
散歩が終わる頃までに半日が過ぎていました。
少し顔つきが変わっているように見えました。
皆さん、良い土地家屋調査士になると思います。