2016年10月16日日曜日

新人資格者が他の資格を勉強すること

一昨日も新人から相談が来ました。
今年の4月に土地家屋調査士と行政書士の事務所を開業した新人です。
開業前にアドバイスをした人です。
いろいろ長電話しました。

彼は、この6ヶ月間土地家屋調査士の仕事が無くて、アルバイトをしていたようです。
もちろん土地家屋調査士としての実力にも自信が無かったので、積極的な営業を控えていたのだから、仕事が来ないのは仕方ありません。
たしかに中途半端な知識で営業に行くとろくな事がありません。ある意味正解です。
でも、そのままでは何も解決しません。

早急に土地家屋調査士としての実力を付けるべきです。
確かに彼の開業前に「毎日勉強しなさい」と言いました。
でも方向性が違ったようです。

何を勉強していたかを更に尋ねたら「社会保険労務士の受験勉強をしていました」とのことでした。
多角経営は経営上の一つの選択肢です。
私も土地家屋調査士以外の業務もやってきました。
だから否定はしません。
しかし、彼の場合は社会保険労務士に合格しても何も改善しないでしょう。
「あなたが合格したら私の会社の顧問になって欲しい」とでも言われたとしても、話半分に思わなければなりません。
彼にはそれすらありませんでした。

資格を取っただけでは何も解決しないことは、土地家屋調査士を開業したことでも理解しているはずでしょう。
これは、どの資格も同じです。
弁護士でも司法書士でも税理士でも行政書士でも、そして社会保険労務士でも、資格合格しただけで依頼は来ません。

彼は開業した(しちゃった)のだから、まずは早急に土地家屋調査士の能力を磨くことが必要です。それは他の資格の受験勉強よりも辛いかも知れません。だから彼は、他の資格の受験勉強をすることで、そこから逃げていたのでしょう。

他の勉強を辞めろとまでは言いません。実力が無いのに事務所を開業したままであることが問題なのです。やるのならそれ以上に今の業務の勉強の時間も取るべきということです。

いつも言うように、コネなんか無くても実力がつけば必ず依頼は来ます。
一定数のお客様は本当に仕事ができる資格者を捜していますから。
彼は頑張ってそれを目指すべきです。
一つの資格で十分生活ができるくらいの柱に育ててから、他の資格を追加すれば良いでしょう。
そうでないと、すべてが中途半端な状態になり、資格者であっても専門家にはなりません。

実力があることをお客様が気がつくまでは、先輩の仕事を手伝う仕事なら有るはずです。
私も先輩の仕事を手伝うアルバイトもやっていました。
それも声がかからないとすれば、まだ実力が無いだけです。

この話題は、今まで何回か書いています。
それだけ同じ問題を抱えている新人が多いです。
ひたすら資格を取ることに集中しても、資格マニアにしかなりません。それを生かす勉強をしなければそれはプロではありません。一生鳴かず飛ばずになるでしょう。

新人に仕事が来ないのは、土地家屋調査士の資格が悪いのではありません。
本人の問題です。
それを勘違いして、たとえば司法書士の勉強などを始めます。
でも、新人司法書士で仕事が無い人の中には、土地家屋調査士の勉強を始める人もいます。これをどう理解するのでしょうか。

大学受験の勉強ではないのです。
資格の受験勉強とはビジネスなのです。