2013年12月23日月曜日

福島の震災関連死が直接死を上回った

福島県内の「震災関連死」の数が津波等による「直接死」を上回ったとのことです。これは12月19日の各紙で報道されたニュースです。

「震災関連死」とは阪神・淡路大震災の頃から使われ始めた言葉です。建物の倒壊や火災、津波など地震による直接的な被害ではなく、その後の避難生活での体調悪化や過労など間接的な原因で死亡することです。

その災害関連死と認定されれば災害弔慰金が支払われます。その認定は県または市町村の審査によります。しかしこの認定はとても難しいです。

行政側としては、できるだけ多く認定してあげたいと思うけれども、限りある資金を有効にそして公平に使うためにも認定ラインはどこかに引かなければなりません。そしてそれがとても難しいのです。そこにどうしてもトラブルが生じます。

裁判もありました。
被災者側としては、その因果関係の証明はとても難しいのです。

被災地では様々な精神的ストレスが生じます。「被災地だけでなく現代人は皆ストレスを抱えている」と違和感を感じる方も多いでしょう。
しかし、家族を亡くしてまもなく3回目の正月を狭い仮設住宅で1人で過ごす人々のストレスや、未だに不安定な福島第一原発の廃炉作業を見ながら放射能からの恐怖を感じて暮らす人々のストレスは、計り知れないものと考えてください。
実際、そのようなストレスで命を落としているケースも多いです。

しかし、原因がストレスになると、因果関係はなおさら証明が難しくなります。
冒頭のニュースの災害関連死の数字は、認定された人のみの数字です。
認定には、医学的、法的知見も必要でしょうし、政策と行政判断の難しい判断も求められるでしょう。

ただひとつだけ書かせてください。
災害関連死は、震災から一度は助かった命がその後失われてしまう悲劇です。そしてそれは、まだ現在進行形なのです。終わったものではありません。

震災関連死は、皆で救える可能性があります。




震災関連死 福島県1605人に 11月30日現在 (河北新報)












 東日本大震災と福島第1原発事故の避難生活の長期化などで亡くなった福島県の震災関連死の犠牲者が11月30日現在で1605人に上り、津波による直接死の1603人を上回ったことが県のまとめで分かった。

 市町村別では、多い順に南相馬市437人、浪江町309人、富岡町202人、いわき市116人、大熊町、双葉町各99人。原発事故の避難区域に集中した。

 県によると、避難生活の長期化でストレスが高まって命を落とすケースが目立つ。高齢者が原発事故の混乱で適切な治療を受けられなかったり、長距離移動を強いられ病状を悪化させたりして寿命を縮める例も多い。
 関連死は岩手県が428人、宮城県が878人と犠牲者全体の1割に満たず、原発事故を抱える福島県が突出している。
 福島県生活再建課は「福島県は避難者が約14万人と被災3県で最多で、故郷を離れざるを得ない避難者も多く、ストレスが大きい」とみる。
 兵庫県立大の室崎益輝防災教育センター長は「福島県の被災者は放射能ストレスがあり、生活再建の道筋も見えないなど固有の問題を抱える。原発事故と関連死の因果関係を詳しく調べ、関連死の増加に歯止めをかけるべきだ」と指摘した。

<震災関連死> 避難生活のストレスや持病の悪化などで亡くなるケースで、津波などで死亡する直接死と区別される。市町村の専門委員会が震災、原発事故との因果関係の有無を審査し、認定されると災害弔慰金が支払われる。