10月30日に開催予定の「土地家屋調査士事務所開業・経営ガイダンスin福岡」は参加申し込みのメールも順調に届いておりますし、福岡を含む全国の緊急事態宣言も解除になりましたので、必ず開催いたします。
ガイダンスでお話しする内容は、このブログで一般論として答えてきたことも多いですが、相談者の各々の人生なので、各々の能力や環境に合わせて答え方の詳細が当然変わります。
ガイダンスでは、能力と環境の違う他の参加者に対する答えが、同じ質問の自分に対する答えと、どこが同じでどこが違うかを把握するだけでも、問題解決の理解が深まるでしょう。
当日には、全員の質問に全部答えるつもりです。当然、皆さんの置かれた条件をできるだけ意識してお答えしますが、やはり当日の時間がない中で工夫しなければなりません。そのために、時間配分のためにも事前の相談内容をお聞きしておりました。今日時点でも、すでにたくさんの質問が届いております。
その中の質問に少し答えましょう。開業にあたって実力に不安のある相談が多いですね。当たり前ですが。このブログの回答はあくまでも一般論ですので、当日は具体的にお尋ねして個別の回答をしたいと思います。
質問「とにかく実務経験が浅いので不安です。その都度分かる人に教えてもらいながら解決していけるだろうと考えてますが、甘いでしょうか?」
あなたの実力が分かりませんが、確かに甘いかもしれませんね。
この質問しているという時点で、これは謙遜だけではなく、やはり分からないのだろうと思われます。
つまり、自分で分かっていない業務まで受託して、その度に先輩に聞きに行くのですね。
土地家屋調査士業を舐めないでください。
土地家屋調査士が受託するときは、依頼者からの相談に答えたり、見通しをお伝えしたり、段取りを説明したりして、安心をお伝えすることになります。
だから「そもそもそのレベルで、まともなお仕事を受託できるか」という問題がありますが。(まともなお仕事についてはガイダンスで説明します)
さて、この受託の問題をおいたとしても、この方法で実際に実力がつくとすれば、ご自分で普段からよほど体系的な勉強をしている前提で、実務上の枝葉だけを補うという位置付けでなければなりません。
本人がわからないところだけを聞いても、どうにもならないです。その目先の仕事だけは終わるかもしれませんが、それを続けても経験にもならないかもしれません。
2021年6月11日のブログ「質問の後のフリートークが大事です」でも以下のように書きました。
「結局質問とは、自分が分からないところを尋ねることですが、君が質問できるということは、君の分からない箇所を絞ることができたということです。
もちろん、君の質問が論点を外していることはあるでしょうが、少なくても問題点として絞ることができたのだから、近所に親切な先輩がいなくてもいずれは解決するはずの問題です。
私が新人を指導をしていて一番「分かっていないな」と思う箇所は、「分からない」と質問してきた箇所よりも、本人が問題点だと気が付いていない箇所なのです。」
私は確かに補助者を経ないで開業しました。だからこそ、実力不足を認識していて、毎日かなりの勉強をしました。それは資格試験勉強の比ではありません。
そしてそれは常に学問の「体系」を意識しながら勉強をしてきました。
知らないところを先輩に質問しているだけでは、どうしても体系が身に付きません。
体系がわからないから、新しい事例にも対応ができないのです。
試験合格できない人が「今回は新傾向だった」と言い訳しているのと同じ状況ですね。
私に質問してきた後輩には、できるだけ体系に沿って理論を教えてから質問に答えるようにしていますが、質問者の知識によっては時間がかかりすぎることもあり、全部を伝えることは難しいと思っています。また体系から教えてくれる先輩はなかなかいないと思います。
結局、ちゃんとした先生について、短い期間でも、しっかり学んだほうが早道だと思います。ちゃんとした先生の選び方はガイダンスでお話ししましょう。
土地家屋調査士は「専門家」です。この意味が分かりにくければ他の専門家で考えてみてください。
病気で困っている患者が来院するたびに、いちいち先輩に相談にいく医者がいたらどう考えますか?