先日、後輩から相談を受けました。
「同じ敷地内に建てられた建物が、附属建物になるのか、それとも別の家屋番号をつけるべきなのか」という相談でした。
具体的に構造や用途などを聞いたところ、不動産登記法の観点から考えれば、どちらもあり得る建物でした。
「ところで、お客様の意向は?」と尋ねたところ、お客様の意向は聞いていないようでした。
このケースは「その建物をこれからどのように活用するつもりなのか」を確認しなければ答えは出ません。
お客様の意向確認、これはごく当たり前のことなのに「なぜ彼はお客様の意向を聞いていないのか」を考えてみました。
彼は、本来のお客様であるその建物の所有者よりもそのお客様を紹介してくれた業者をお客様だと、どうも勘違いしているようです。
定期的にお客様を紹介してくれる業者、例えば不動産業者、建築業者、銀行、税理士、司法書士等々をつい優先して考えてしまい、紹介先のお客様は単なる一見さん程度に考えてしまっているのかもしれません。
実際のところ、彼はその業者とは何度か打合せをしているようでしたし、その業者の意向を気にしているようでした。
確かに定期的にお客様を紹介いただけるのですから、それらの業者には当然に感謝をすべきですし、大切に思うその気持ちはわかります。
しかし、この場合、お客様はその建物の所有者です。
まずは、お客様である所有者の意向を伺って、その意向どおり登記したら何か不都合が生じるのか考えて、場合よっては業者と調整をしてお客様に納得いただいて、手続きの方針を決定すべきです。
もう一度仕事の基本について整理して、しっかり考え直してほしいのです。
私たちは登記手続きを通じて、誰を守り、誰から報酬をもらうのかを。