2015年4月20日月曜日

ヴァチカン美術館 3D 天国への入口

最近、美術館やライブ・コンサートを映画で見るという試みがあります。

これはとても良いアイディアだと思います。
なかなか行くことのできないライブコンサート等を大画面と大音響の映画館で堪能することができます。

たとえば今の映画で「パリ・オペラ座へようこそ」というシリーズがあります。
これはパリのオペラ座で行われるバレエやオペラを映画で鑑賞するシリーズです。
これはパリに行かなければ見られないものです。

「絵画は本物を見ないと」「コンサートは生を聴かないと」という人がいます。
確かに私達が音楽をやっていた学生の頃も「一流のレコードよりも三流の生(の方が感動する)」と言われていました。そのとおりだと思います。
でもそうは言っても、いつでも生で見たり聴いたりできるものでもありません。

先日「ヴァチカン美術館 3D 天国への入口」を見ました。


これもドラマではありません。美術館を映画で見るものです。
ヴァチカン宮殿の中の貴重な壁画等が映像で見られるのです。
壁画なら当然に他所の美術館に貸し出しできるものではありません。

そう簡単にヴァチカンに行くことができないなら「生じゃなければ」なんて言って結局何も見ないより、映画ででも見た方が良いでしょう。
音楽もCDだけでも泣けることもあるでしょ。
本物のアーティストのライブを聴かなければと言う人、あなたは結局何も経験できない人です。

さてこの映画、確かにヴァチカン宮殿の美術館に4K(Ultra HD)3Dカメラが入ったのは画期的です。私は美術館や博物館にも結構行きます。ですからこの映画も期待していました。

ラファエロの「アテネの学堂」やミケランジェロの「アダムの創造」や「最後の審判」を見ることができます。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ジオット、カラヴァッジオらのルネサンス期の巨匠たちに加え、ゴッホ、シャガール、ダリ、フォンターナら近現代の芸術家の作品も鑑賞できます。

彫刻についてはもちろん3Dカメラの威力がありました。
彫刻はそもそも立体感があるから成り立つ芸術です。
とても正しい3D映画の使い方だと思います。

しかし、この映画やり過ぎです。
絵画を立体的に見せようと、撮影した絵画の映像を3D加工していました。
絵画には最初からそのものの持つ奥行き感があります。映画で勝手な加工せずに、絵画はできるだけそのまま見せなければならないはずです。
また絵画を忙しくズームしたり、うるさいナレーションが入ったり、少し静かに絵画を見せて欲しいと思いました。
主役は何か、作り手が少し勘違いしたのではないでしょうか。
私はそう思います。それで興ざめでした。

美術館を映画で見せることは、是非続けて欲しいと思います。
そして今度はゆっくりと絵画を見せて欲しいと思います。

あっ、この映画、興味の有る人は見てくださいね。
後悔まではしていませんから。