試験合格者の皆さんからよく聞くのが「土地家屋調査士試験に合格したので、あとは測量とCADさえできれば開業できる」という考え方です。
不動産登記法などの法律の試験に合格したので、法律関係はもう大丈夫と考えてしまう。しかし、測量機械は触ったことがない。もちろん測量CADなども見たことがない。だから、その二つが大きな壁だと考えて「あとは測量とCADさえできれば」という気持ちになるのでしょう。
気持ちは良く分かります。私も合格時はそうでした。
でも、実は逆です。
測量機械もいろいろ種類がありますが、基本的には機械ですからそれぞれマニュアルがあります。測量方法もその手順にはマニュアルがあります。もちろん測量CADもアプリですからマニュアルがあります。
これらは、それぞれのマニュアルを端折らずに丁寧に学ぶ気がしっかりあれば、独学でも身に付けることができます。もちろん補助者になれば、もっと効率は良いと思いますが。
ところが逆に、皆さんがもうできている、もう大丈夫だと思っている法律部分は、資格試験合格レベルでは広さも深さもかなり不足しているのが現実です。
独立開業した際に、試験問題のような典型的な依頼が来ることは少ないと思います。土地でも建物でも、周辺の法律や各種手続きなどを各方面から検討した上で、最適な手続きを提案することも多いのです。
そして、この部分は独学が難しい分野です。
というのは、どこまでの広さとどこまでの深さがはたして必要なのかを把握するためには、土地家屋調査士の実際の仕事を見て理解しないと難しい点が多いのです。そしてその広さと深さを目の当たりにしたとしても、それらを身に付けるためには、どこから学び始めれば良いか、独学ならその目安そのものが分からないだろうと思います。
私がガイダンスなどで「環境が許せばできるだけ補助者になることをお勧めします」と繰り返し伝えているのは、こういう観点からも言えることだからです。
補助者修行を、時間や収入のロスと考える人がいますが、ここからの長い土地家屋調査士人生を考えれば、私はトータルで効率よく学べる方法だと考えています。
応援しています。頑張ってください。