2014年5月30日金曜日

求人問い合わせのMEさんとのその後

先日の補助者希望の方(5/25ブログ)とのその後のやりとりも紹介させてください。
抜粋で分かりにくいかもしれませんが、これから資格を目指す方々にもお伝えしたいことなので。
もちろん、これに正解はありません。あくまでも私の考え方です。
でも正解がないからこそ、相談されたら、自分の考え方をしっかりと伝えるべきだと思っています。

MEさんからのメールの抜粋
(略)
何故、土地家屋調査士を目指すのか?
という、基本的な理由ですが
宅建と測量士補の勉強をする中で
2つの要素を併せ持つ「土地家屋調査士」の存在を知ったからです。
また、現場と事務処理、という内と外の
二面性を持っているところも魅力の一つです。
(略)
士業ですから、資格が必要なのは理解しています。
資格を取得するまでは
測量補助などアルバイトで、
資格取得後は正社員に、というのが就職活動の目的で
正直なところ、独立・開業は目指していません。

就職活動と資格取得どちらを優先すべきなのか、
改めて考える機会となりました。
(略)


MEさんへのお返事の抜粋
(略)
さて、更に余計な事ですが一言だけお伝えしたいと思います。
土地家屋調査士は基本的に独立開業する仕事です。
確かに最近は調査士法人という形態もあります。
しかし、その実態は単なる雇用であることが大半です。
(略)
有資格者は個人に与えられたその専門性により、自分の名前で世間に出なければなりません。
責任は重いですが、だからその分報酬も戴けます。
矢面に立ちたくないのなら、社内資格を考えられた方が良いかも知れません。
(略)
でも責任の無い仕事を探しているのですか?
お茶汲み程度のお仕事が欲しいのですか?
資格を目指すと言うことはそういうことですよ。

失礼しました。
自分の大切な人生ですから、しっかりとリサーチして、納得する人生にしてください。
頑張りましょう。



2014年5月27日火曜日

伊達な地図づくりin宮城

5月25日(日)に公益社団法人宮城県公共嘱託登記土地家屋調査士協会による

フォーラム&フェスティバル2014
「伊達な地図づくりin宮城」
~土地家屋調査士と復興~

というイベントが開催されました。

開催場所がメディアテイク仙台というロケーションもあり、多くの一般のお客様が来場されました。



受付の宮城協会の看板娘さっちゃんです。
(本人からこの写真なら良いとチェック済です)



ご挨拶をする岩渕理事長です。
(一切チェックは受け付けずに勝手に載せました(笑))


「公嘱協会が震災復興に取り組んできたこと」というタイトルで
高橋理事と赤間理事が土地家屋調査士制度を含めて説明していました。
「小学生にも分かる言葉で説明する」を心がけた説明でとても良かったと思います。


測量機器の展示です。
トータルステーションやGPSなどを展示しました。
一般市民の皆さんにはとても興味があるようです。



境界標の種類の展示も行いました。
これもとても好評でした。
普通は改めて見る機会が無いですよね。


ジオラマです。ビルも一般住宅も農地もあります。
様々な土地の場面での境界標の入り方を説明しています。
西條理事を中心に若手理事の手作りと聞いています。
凄いです。分かりやすいです。
ちなみに自動車は高橋理事のお子様の所有物です。


何故か農地に戦車がいます。(笑)
これも高橋家の戦車でしょう。



14条地図の作成についての説明で
地図混乱地域の地図がどのように変わったかを展示しています。
このビフォーアフターが分かりやすいです。

これらの展示以外でも、歩測体験や落語があったり、講演があったり、とても充実したイベントでした。
公嘱協会の役員とお手伝いの若手の会員の皆さん、お疲れ様でした。




2014年5月25日日曜日

鈴木様 現在、求人は行っていませんでしょうか?


私には様々な立場の方から相談が来ます。
昨日はこんなメールが来ました。
土地家屋調査士事務所の補助者になりたい方の参考になればと思い、紹介します。


鈴木様

突然のメールを失礼いたします。
ME(女性)と申します。
貴社では、現在、求人は行っていませんでしょうか?
当方、測量等の経験はありませんが、
土地家屋調査士事務所での勤務を志望しています。
誠に勝手ながら
履歴書と職務経歴書を添付させていただきました。
ご一読いただき、ご検討いただければ幸いです。
宜しくお願い致します。


ME様

ご連絡をありがとうございます。
私の事務所では、現在求人しておりません。
折角のご連絡で申し訳ありませんが、他を探してください。

ただ一つだけ余計な話ですが、
何のために土地家屋調査士事務所で働きたいのかが、ご自身の中で明確になっていますか。

土地家屋調査士を目指すのなら、まずは試験に合格しなければなりません。
そのためならば、土地家屋調査士事務所に勤めることが最短距離かどうかは微妙な問題です。
土地家屋調査士事務所では、必ずしも受験の指導をしてくれるとは限りません。
むしろ働くと言うことですから、当然時間は拘束されます。
土地家屋調査士を目指すから土地家屋調査士事務所に勤めたいというシンプルな発想なら、もう少しリサーチが必要かも知れません。
とりあえず試験合格を最優先に考えるべきでしょう。

試験合格後に土地家屋調査士事務所で働くかどうかなら、以下のブログが参考になるかも知れません。
試験合格後土地家屋調査士事務所で修行すること

単純に就職先と考えるなら、それもしっかりとリサーチが必要です。
どちらにしても小さな事務所が多いので、その事務所の先生との相性が重要でしょうね。

熟慮の上で土地家屋調査士業界を目指してくれるなら、業界として嬉しいです。
頑張ってください。

土地家屋調査士 鈴木 修



その他にも本ブログ内で補助者に関係して書いた記事があります。
これから土地家屋調査士事務所に勤めたいという方や土地家屋調査士の事務所を開業しようという方の参考になるかも知れませんので、再度紹介します。

何故君は動かないのか

補助者から独立開業する不安

事前にシミュレーションすること

再度、経験は作るものです。

「調査士一本でやるのは難しい感じがするんですが?」に答える

2014年5月20日火曜日

アナと雪の女王




話題の「アナと雪の女王」を観ました。
気にはなっていたのですが、時間が取れなかったので、やっと観ました。
もちろん私1人です。ええ、おじさん1人です。
でも昨日今日のディズニーファンに言われたくないです。

私達世代は年季の入ったディズニーファンです。
子どもの頃に毎週放送されていた「ディズニーランド」を楽しみにしていたのですから。
「今日は「未来の国」「おとぎの国」「冒険の国」「開拓の国」の中のどの国かな。おとぎの国ならいいな」って願って観ていたんですから。

そのディズニーの手書きセルアニメで育った私ですから、最近のCGの3次元アニメはどうも馴染めなかったのです。特に人物はダメでした。
「昔のディズニーの手描きアニメはとても綺麗で、とても良かったのに」といつも残念に思っていました。
しかし、毎年毎年驚くほど技術が進んでいることは認識していましたし、いずれ本当に納得できる時代が来るのだろうと思っていましたが、今回の映画の出来を見てそろそろ納得することにしました。

あの肌の質感と表情、雪や草や水のリアリティ...
雪にしても柔らかい雪から硬い氷まで、とても素晴らしい出来映えです。
ここまで表現できるのなら、もう充分です。
最後に残ると思われた人物造形も、アナ達は感情移入できるほどの演技力を持った女優と言っても良いくらいの仕上がりでした。

さて「アナと雪の女王」ですが、この映画を「大好き」と言う人と「なんでこんなに人気があるのか?」という人に分かれているようです。

私は前者の方です。
おそらく、この映画がミュージカルだということが、その評価を分けるのだと思います。観客がミュージカルに何を求めるかで変わるのでしょう。
「物語が甘い」そういう批判もあると思います。しかしミュージカルに、そしてアニメに何を求めるかです。「もともとミュージカルは嫌い」と言う人も理解できます。
しかし私は、ミュージカルが好きで、舞台でも映画でも結構観ています。
だからミュージカルに寛容なのかも知れません。

古今東西の名作ミュージカルでも、オペラでも、物語のみを取り出して考えてみると、少々物語に難が有ると思えるものもあります。音楽を重視するあまり、物語に歪みを生じているものも有ります。
でも良いんです。
それがミュージカルですから。

この「アナと雪の女王」は、いくつかの耳に残る名曲があります。
これだけでもう充分です。もう名作ミュージカルです。
雪の女王であるエルサはもともと悪役と設定されていたようですが、あの名曲『Let It
 Go』(ありのままで)を歌わすことになったので、完全な悪役ではなく主人公の1人に設定が変わったという話しもあるようですし。

耳に残ると言えば、映画から2日間は頭の中で『Do You Want To Build A Snowman』(雪だるまつくろう)が鳴り響いていました。
だから、これだけで名作ミュージカルなんです。

ストーリーを考えれば、前半は良くても後半の物語はあまりにも御都合主義に見えます。
悪人の登場は唐突では無かったか、
最後の魔法の解け方は簡単すぎないか、
とも思います。
良いんです。ミュージカルですから。

その中でも、ディズニーとしても物語を工夫していることは理解しています。
この魔法と女王が出てくる典型的なディズニー物語に、現代風な解釈を加えていますね。
悪人も現代的な悪人像ですね。悪いことをするのに理由を設定しています。昔なら悪いやつは理屈無く悪かったのですけどね。
そして今までのディズニーなら、アナは「彼」と結婚して物語を終えるはずですが、今回は結婚するかしないかまでは描いていません。今風ですね。
またエルサの魔法の能力が呪いによるものではなく生まれつき持っていると言うことと、最後までその能力が消えずに、むしろそれを晒して国民と幸せに共存するという方向性なんですね。
標準的な人間になるだけが幸せではないという、これが『ありのままで』であり、現代的解釈なんですね。


また、この映画の前の特別上映作品『ミッキーのミニー救出大作戦』も、とても良くできた短編でした。
モノクロの2D「蒸気船ウィリー」時代のミッキーの歴史を踏まえながらも、ディズニーが進化していることを現していました。
映画スクリーンを重要なファクターとして使いながら、ミッキー達がそのスクリーンの中から飛び出したりまた入ったりして活躍します。
スクリーンは映画そのものを象徴するものです。それを破って出入りすることで、昔と今のディズニーアニメ映画の方式を切り替えて、CGアニメの技術の大きな進化したことと、しかしディズニーの魂は変わっていないことを、明確に示していたと思います。
これは秀逸な短編です。

おそらく、また観に行きます。
だって3Dと2D、字幕と吹き替えの選択肢もあるし、
何と言ってもミュージカルの名作ですし。






2014年5月17日土曜日

総会挨拶

 昨日は宮城県土地家屋調査士会の第64回定時総会でした。
東日本大震災からの復興業務等で公私ともに中お忙しいところご参集くださいました宮城会会員の皆様に感謝します。
 またすべての議案について慎重審議の上、ご承認戴いたことに重ねて感謝申し上げます。
以下、冒頭で申し上げました会長挨拶を掲載させて戴きます。



ご挨拶

 本日、宮城県土地家屋調査士会第64回定時総会を開催いたしましたところ、仙台法務局長小宮山秀史様をはじめ、日頃大変お世話になっております多数のご来賓の方々をお迎えして開催することができました。
ご来賓の皆様には、ご多忙の中ご臨席賜りましたことを、心から御礼申しあげます。本当にありがとうございました。

 また、本総会にご参集くださいました会員の皆様、日頃は会務運営にご支援ご協力を頂き、まことにありがとうございます。
本日は、この1年間のご報告をさせていただきますと共に、新たに上程申し上げました議案について、充実したご審議をお願い致します。

 東日本大震災より早3年経ちました。
あの震災で被災した総会会場として使えなくなったこのメルパルク仙台から、急遽総会会場を捜した2011年総会から4回目の総会です。
 この3年間、私を含む宮城会会員の皆様には震災に絡むたくさんの苦しいこと辛いことがありました。
 これらに対峙するのは一人ではとても辛いことです。それを乗り切ることができたのは、会員の皆様の団結力のお陰だと感謝しております。「絆」は被災時に起きるのではなく、普段から培われたものと再確認できました。
 これからの1年も公私ともにお忙しいことと思われますが、身体にお気遣いなされながらも、ご協力をお願い致します。

 さて世間に目を向けると、私達が東日本大震災対応に追われている間も、技術や制度は待ったなしで動いております。
 この20年様々な外圧や技術革新から、日本政府にも行政の枠組みにも、私達の資格制度にも大きな変化が現れ始めています。
 今年は土地家屋調査士制度制定64年になります。
もちろん、その長い年月の間にも私達資格者のあり方は年々変化をしてきました。

 今はTPPなどの資格制度変革を迫る海外からの圧力や、地理空間情報活用推進基本法などの登記情報を含む地籍情報のあり方を変化させる流れも見えてきています。
これがいつどこまで実現するのかどうか分かりませんが、どんな流れになっても、我々を頼りにしてくれている国民の皆様のお役に立つために、生き残らなければなりません。

 ここで重要なことは、表面的な理解ではなくて、はじめの変革の兆候とその原因を理解した上で今なぜこのような現象が起こっているのかを考えて行動しないと、国民のニーズから土地家屋調査士制度が乖離してしまう虞があることです。
 昭和の時代の成功体験を懐かしんでいても、物事は前に進みません。
宮城会としても把握した情報は積極的にお知らせしますので、会員の皆様もお忙しい中と存じますが、明日のための行動も宜しくお願いいたします。

 最後に私事で恐縮ですが、私も平成21年度の総会で会長に選んで戴いて5年が経過しました。
何とか無事にこの五年が勤められたのも、会員の皆様のご支援とご協力のお陰だと心から感謝致しております。
 私の会長の任期は残り1年だと考えております。
どんな組織でも、あまり同じ人間が長く会長を務めるべきでは無いと考えております。
 私は残り1年で会務の課題を整理し、会員の皆様にとっても分かりやすく、次期の執行部にとっても効率的で負担の少ない形を作りたいと考えておりますので、更に一年ご支援とご協力をお願い致します。

 本日の総会が宮城県土地家屋調査士会の将来の方向を決める、意義ある総会になりますことを祈念致しまして、御挨拶と致します。

2014年5月15日木曜日

明日は宮城県土地家屋調査士会総会です

明日16日金曜日は宮城県土地家屋調査士会総会です。

東日本大震災により総会会場として使えなくなったメルパルク仙台から、急遽総会会場を捜した2011年総会から早3年、震災後4回目の総会です。

会員の皆さんは震災復興に関して公私ともにとても忙しい思いをされています。
その思いから「時間が無いから今年は研修会を開催しないで欲しい」という意見を戴いたことさえ有ります。

この会員は、研修会が開催されたら当然出席するつもりだからこの意見が出たのですから、まじめな会員なのです。最初から出るつもりがなければ、こんな意見を言う必要もないのですから。
だからこの意見も重要な意見です。

とは言っても、被災地の専門家として復興の役に立ちたいのなら、日々研鑽は続けなければなりません。
できるだけ負担を減らす工夫をしながらも、日々刻々変わる制度や技術に即応する必要があります。

今の時代の世界の動きを理解して、制度を俯瞰して、目標を共有して、行動する為に、会員の皆さん、明日の総会にご参加ください。
これから1年の宮城会の方向性を皆で議論しましょう。
また懇親会も用意していますので、皆さんと楽しく歓談できることも願っています。




ベガルタ仙台 降格圏からの再出発

我がベガルタ仙台の開幕からの低迷については、とても残念に思っています。

原因としては、監督の問題もあるでしょう。
チームの過渡期という問題もあるでしょう。

ベガルタ仙台監督交代でリーダーを考える
負け癖を吹っ切れ

ワールドカップの日本代表選手の発表が、昨日今日の話題ですが、その中にベガルタ仙台からの選手はいません。
ベガルタ仙台はもともと金のないチームですから、日本代表級選手に育っても他チームに引き抜かれることもあり、また海外からフォルランのようなスーパースターを招聘できる訳も無いのです。
だからベガルタ仙台は、選手と戦術のやり繰りで戦うしかありません。
それでも一昨年は準優勝まで行きました。
しかし今年はJ2降格圏を抜け出せるかどうかという順位です。

この選手達に文句を言うのならレアル・マドリードでも応援すれば良いことです。
私は選手に下手だからという理由でブーイングはしません。
試合に負けたからと言ってブーイングはしません。
できることを精一杯やっているなら、どこまでも応援します。
しかし選手が、できるはずなのに手を抜いていたり、集中していないように見えたりすれば、そこはブーイングです。
これは、全国の後輩土地家屋調査士に対する私の姿勢も同じです。

私はファンではなく、サポーターだからです。
そして私は、生涯ベガルタ仙台サポーターからは移籍しません。

さて、このブログで長年利用してきた県別の閲覧概数を表示するツールを削除しました。
その代わりと言ってはなんですが、ベガルタ仙台の状況がわかるツールを貼ってみました。
宮城会会員の皆さんに、地元のチームに関心を持って戴きたいという私の勝手な想いで貼ってみました。ちょっと違和感があるでしょうが、既に何のブログだか分からなくなっていますので・・・。

現在J2降格圏をやっと脱出できるかというJ1リーグ14位ですが、ここから1年かけての盛り返しを皆で注目していてください。
その注目が選手の一歩の歩幅を決めます。

そして会員の皆さん、(話しが長くなることを覚悟して戴けるのならw)私にこの話題を振ってみてください。一緒にベガルタ仙台を語りましょう。

もちろん、ベガルタ仙台レディースも楽天イーグルスも仙台89'ersも仙台ベルフィーユの話題も大歓迎です。
そうそう仙台ベルフィーユ監督に、元全日本女子バレー監督の葛和伸元氏が就任したんですよね。女子バレーも面白くなりそうですね。





2014年5月12日月曜日

「動け」とは身体のことだけではないのです

私は、長い間土地家屋調査士の後輩向けに研修会の講師をしています。

その中で私は後輩たちにいつも「講義内容を理解して納得したら動きましょう」と言ってきました。
以前も書きましたが、講義を聞くことが目的になってはならないのです。
講義は次への切っ掛けでしかありません。講義を大人しく聞いて評価されるのは小学校低学年までです。聞いて動かないと意味が無いのです。

でもね、今身体の調子が万全でないMさん、焦らなくても良いですよ。
「動きましょう」と言うことは、常に「身体を動かすことのみ」を言っているのではありません。「頭を動かしていること」も「動く」です。
精神が集中できないときに、「明日のために積極的に休むと決めた」のなら、それも「動く」です。もちろん「だらだらする」とか「今日は結果的に何もしなかった」は含みません。

病気の人だけが動けないのではありません。
健康な人でも何らかの理由で動けない時期はあるものです。立場であったり、家族環境であったり、様々な事情を皆持っています。
だから動くことができないのは、Mさんだけではありません。

私達には定年はありません。
身体の調子を意識しながらも長いスパンで考えれば良いのです。身体が動かない時は頭を動かしましょう。

動くことができる日が来たときに無駄な動きをしなくて済むように、今からしっかりと考えておきましょう。

高くジャンプをするためには、目をギラギラさせながらしっかりと縮む時が必要ですから。




2014年5月11日日曜日

宮城会における東日本大震災現地対策本部について

現在編纂を進めている東日本大震災の記録誌に書いた原稿の一部です。土地家屋調査士会の組織としての視点で書いてみました。




 宮城県土地家屋調査士会会館(以下会館)に災害対策本部が設置されたのは、2011年3月13日、あの東日本大震災の2日後でした。

 3月11日14時46分に会館では、宮城県土地家屋調査士会(以下宮城会)の会議が開催されていました。その尋常ではない揺れに、会議に出席していた三浦副会長は、会議を中断して事務局も閉じて出席者に早く帰ることを指示しました。その直後から、東北は電話は通じず、電気も水道も都市ガスも皆止まってしまいました。

 全国のどの土地家屋調査士会にも連合会のモデル規則を参考にした「大規模災害対策に関する規則」等が有るように、宮城会にも同様の規則があります。
私も実際に東日本大震災が来るまでは、あまり深く考えずにこの規則を見ていました。

 この規則第2条によると、災害に備えて宮城会に現地対策本部を常置していなければなりません。そしてその本部長には宮城会会長が就任し、副本部長には副会長が就任することになっています。そして大規模災害発生時には被災地統括班を組成することになっています。その現地対策本部の任務は第3条により次のとおり定められています。

  • (1) 会員の被害状況調査
  • (2) 会員の救援
  • (3) 会員への義援金等の管理及び給付
  • (4) 連合会災害対策本部との連絡調整
  • (5) その他救援活動に必要な事項

また各班の任務も第4条により定められています。

  • (1) 総務班は、現地対策本部の庶務及び会計、連合会災害対策本部との連絡、宮城県災害復興支援士業連絡会との連絡調整、その他の関係機関との連絡
  • (2) 調査班は、人的・物的被災状況の把握、災害発生地の被災状況の把握
  • (3) 給付班は、被害の程度に応じた義援金等の給付
  • (4) 記録班は、各班の活動状況の記録
  • (5) 被災地統括班は、現地対策本部と連携し、上記各号に対応する

そしてこの外に災害対策委員会を設置する要項も存在します。

 会を動かすためには、そのときの役員の感覚だけで動かれると困るので、当然に規則は必要です。しかし、実際に被災した経験から言えば、この規則どおりに動くことはとても難しかったのです。

 まずこれだけの大震災では会長や副会長が生き残っているかどうか分かりません。たとえ生きていたとしても、1週間ほど連絡が取れない可能性があります。また会館まで移動できる手段が無いかも知れません。
 もちろん「現地対策本部長に事故有るときは・・・職務代理順に・・・」という条文もあります。しかし、それも集まってみないと分からないことです。
 電話やFAXが使えない中、誰がどうやって会議を招集できるのでしょうか。災害対策は初動が重要です。
 平常時に作られたこれらの規則を運用するには、よほど普段から意識を持って検討しておかないと、現実感が無いものになってしまいます。

 またこれだけの災害をもたらせた東日本大震災では、本人が無事でも、家族や親戚や友人に不幸が起きた人もとても多いのです。
また事務所や自宅に何も無かった人はおそらく誰もいないことでしょう。
対策本部長としてそんな状況が分かっていて、たとえ連絡が付いたとしても「委員として会館に出てこい」という招集はとてもできないことでした。

 そんななか、一度も招集しないのに会館に勝手に理事を中心に会員たちが集まってきました。そうして集まってきた人達が中心になって13日に現地対策本部が設置されたのです。
水や食べ物も不自由なときに、文字通り手弁当で集まってくれました。
 毎日通ってくれる会員に「事務所も大変な状態なのだろうから、たまに休んでください」とお願いしたこともありましたが、「どうせこんなときに仕事なんか無いですから」と言って頑張ってくれました。
あの苦しい中、被災地の会長としてとても忘れられないことです。

 本部長として規則どおり正式に招集したのは4月になってからです。被災時からそれまでの非常時の現地対策本部の動きを報告し、事後承認してもらうためです。
それはすべてのインフラが整備されてから、会館に集まることがそれほど負担を感じなくなってからでした。

 この規則だけでなく、実際に被災してみると防災グッズや防災対策についても、非常時には使えないものが多かったです。
 とても難しいことですが、平常時にどれだけ非常時のことを想定できるのかがこれらの要諦でしょう。
全国の土地家屋調査士会においては、非常時の行動を規則も含めて再確認をお願いしたいと思います。

 次に問題になったのは、「災害対策本部とはどこまで何をやるべきなのか」ということです。
被災会員に対して送られてくる支援物資を「対策本部に集まった人達で手分けして配るべきか」「それは行政のすることで我々がやれることではないのか」という議論があります。
そのときは平時では無いのです。ガソリンもなかなか手に入りません。道路も寸断されています。毎日余震も多いのです。そこで無理して配りに行くことで、もし二次災害になったらという不安も有る中のことです。

 そのときの会館に集まってくれた会員は「仲間が困っているのなら」「仲間を助けたい」という気持ちで一致し手分けして動くことになりました。それでガソリンを節約しながら、各地の会員の安否を確認しながら、計画的に支援物資を届けることができました。
 これが現地対策本部の正解かどうか分かりません。もし支援中に二次災害に遭ったら、今どう思っているか分かりません。

 しかし今回の東日本大震災を経験して、一つだけ確信したことがあります。
「絆」は災害時に発生するのではないということです。
普段から培っていたものが出るのです。

 被災地の会長として苦しいことも多かったのですが、改めて全国と宮城県の土地家屋調査士仲間の絆を実感した3年でもありました。

ありがとうございました。







2014年5月9日金曜日

訃報-佐々木尚会員のご母堂様ご逝去

本会監事佐々木尚会員(仙台支部)のご母堂様が5月8日にご逝去なされました。
葬儀等は以下のとおりです。
ご冥福をお祈りいたします。


<通夜>
日時:平成26年5月10日(土) 午後6時より
場所:亘理斎場 静海波
    亘理郡亘理町下茨岡168-1
    電話 0223-34-3344

<葬儀>
日時:平成26年5月11目(日) 午後1時より
場所:亘理斎場 静海波
    亘理郡亘理町下茨岡168-1
    電話 0223-34-3344

<喪主>
佐々木勇次郎様 (佐々木尚会員のお父様)

2014年5月8日木曜日

平成26年度 会務執行方針(案)

5月16日(金)に宮城県土地家屋調査士会の総会が開催されます。
場所はいつものメルパルク仙台です。
会員の皆様には是非お集まり戴くようお願い致します。
一緒に皆様と宮城会のこれから1年間の話しをしましょう。

さて、会員の皆様は毎日復興に向けて公私ともにご苦労されていると思います。
宮城県土地家屋調査士会もまた組織として復興に向けてできるだけの努力をして参りました。
そして今年度もまだまだ努力を強いられる状況でしょう。

しかし、3年前のあの年の総会会場もメルパルク仙台を予定していたところ、あの東日本大震災で被災した会場の修復が間に合わず、急遽総会会場を探したのも、既に思い出になっています。
そろそろ世間の震災に関する記憶も風化し始めています。

昨年までの会務執行方針はすべて震災対策と復興に向けたものでしたが、そろそろ震災からの復興に加えて、専門家として世界の動きにも対応しなければなりません。数年間辛い思いをするかも知れませんが、復興後も睨んだ会務を執行する覚悟です。ご協力をお願い致します。

よって以下の会務執行方針(案)と致しました。
よろしくお願い致します。



 東日本大震災から3年経ちました。被災地宮城県内でも、仙台市中心部は表面上何事も無かったかのように見えますが、それ以外の沿岸部などはまだまだ復興にほど遠い状況です。

 昨年度も一昨年度と同様に、会員の皆様は地域の復興のために、登記や境界の専門家として、また地域のリーダーとして、公私ともにお忙しい活動をなされていたことと思います。そのような中でも更にまた、復興に関する組織対応として、被災した方々への「相談」「支援」「地図修正業務」等々にもご協力を戴きました。会員の皆様にはご苦労をお掛けしております。あらためて感謝申し上げます。

 宮城の復興に関する集団移転等も始まりました。県内の建物の新築件数やそれに伴う土地の手続も増加しています。それらに伴い土地の境界と登記の専門家としての土地家屋調査士も、今年度は更に忙しくなりそうです。既に会員の皆様の事務所でも相談や業務で多忙な毎日をお過ごしと思いますが、組織としての法務局発注地図修正関連業務も今年度は更に忙しくなりそうで、宮城会会員全員のご協力が必要な年になりそうです。

 しかし、この復興景気がいつまでも続くわけではありません。今の忙しさは、数年先までの仕事を全部前倒しされているものだからです。
また、世界の動きは被災地の復興を待ってくれません。TPP等の政治圧力やグローバルな技術圧力が、日本の制度にも大きな影響を与えつつあります。既に昭和の時代のノウハウや成功体験だけで乗り切れる時代では無くなっています。

 このような変化の時代を乗り切るには、世界にアンテナを張りながら、組織として個人として実力を付けておくしかありません。ですから被災地の我々も、忙しいからと言って、研究や研鑽を止める訳にもいきません。

 本年度の宮城県土地家屋調査士会の会務運営は、役員にも会員にも負担を少なくしながらも、会員へのサービスの質を落とさない工夫をしなければなりません。
これらの考えのもとで、今年度の会務運営を図るために、下記の事項を今年度の主たる会務執行方針と致します。

1.横断的災害復興支援と震災記録誌の発刊

 宮城会にある財力も人力も横断的に災害復興に注力する。
 全国からの支援に対するお礼も兼ねて、震災の記録誌を発刊する。


2.協調・協力関係の充実

 日調連、東北ブロック協議会、宮城公嘱協会、宮調政連等の関係団体と協調し、災害復興に関する適確な情報交換及び一層の協力関係充実を図る。


3.効率の良い会務運営の構築

 会務にメリハリを付けて、質を落とさずに効率の良い運営を図る。


4.効率の良い研修会の構築

 復興で時間が無い中で十分な工夫をして、研修会の内容を更に充実させながら効率化し、会員が参加しやすい研修会を企画する。


5.効率的財務運用と財政基盤の充実

 長い期間を睨んだ効率的かつ有効な財務運営を構築する。


6.事務局体制の充実

 事務局体制整備の検討と、一層の能率・能力の向上を図る。