2026年1月13日火曜日

プロの門を叩く君たちへ ――「誰に学ぶか」が専門家の一生を決める

令和7年度の土地家屋調査士試験に合格された皆様、本当におめでとうございます。
今回、合格者のTさんから今後の歩みについてご相談をいただきました。
非常に重要なテーマだと感じましたので、私の考えを皆さんにもお伝えしたいと思います。


Tさんのご相談内容は、「親が調査士で長年現場を手伝ってきた先輩(非資格者)から実務を教わりながら開業したい」というものでした。

新人のうちは、ベテランの先生方は敷居が高く感じられ、どうしても話しやすい身近な存在や、知り合いの補助者経験の長い方に頼りたくなる気持ちはよく分かります。
しかし、私はあえて別の選択肢を考えてみてほしいとお伝えしました。

学ぶべきなのは「作業」ではなく、資格者としての「責任」なのです。

私が「その選択はお勧めしない」と伝えた理由は、土地家屋調査士という資格の本質にあります。

測量技術やCAD操作、書類作成を覚えることは確かに大切ですが、それらは業務のごく一部の作業にすぎません。

プロの土地家屋調査士に求められるのは、技術や知識に裏付けされた「法的根拠に基づく思考」と「責任を伴う判断」です。


私たちが身につけるべき真の実務能力とは、以下の3点に集約されると考えています。

・法的根拠に基づく判断力とその判断を実行する能力

・対話力、説明力

・事務所経営能力


これらは、自ら資格を背負い、責任の重みに向き合いながら現場を差配し、事務所を守り続けてきた「資格者」からこそ学べるものです。

だからこそ、勇気を持って「本物の土地家屋調査士」の門を叩いてほしいと願っています。


開業は、自分や家族の人生に関わる大切な選択です。

そして専門家である以上、お客様の利害に直接影響する仕事です。

だからこそ、最初はハードルが高く感じられるかもしれませんが、近隣で評判の良いベテランの先生に相談してみてください。

「実力を高めたい」という真摯な思いを持って訪ねてくる新人を、無下にする先輩は多くないはずです。


今の「学びやすさ」だけで判断するのではなく、10年後、20年後の自分を支える「本物の基礎」をどこで学ぶべきか。

一呼吸置いて考えてみてほしいと思います。


皆さんのプロとしての第一歩が、素晴らしいものになることを心から応援しています。








2026年1月3日土曜日

【新年のご挨拶】変化を恐れず、共に進化する一年に

 新年あけましておめでとうございます。

私事ではございますが、2023年より年賀状によるご挨拶を控えさせていただいております。今年、年賀状をくださった皆様には、この場を借りて欠礼のお詫びを申し上げます。


「一年があっという間だった」と言う人もいれば、「長かった」と感じる人もいます。 これは生きる密度の違いなのか、あるいは印象深い出来事の多さによるものなのでしょうか。 カレンダーがたった一枚めくられただけのことですが、それでも新年という区切りは、新しい何かに出会える希望と、自分自身や仕事を振り返り、ブラッシュアップして次の一歩を踏み出すための大切な契機であると実感しています。


毎年お伝えしていることではありますが、世界中の制度や技術は絶え間なく変化しています。 それに伴い社会経済が変容し、連動するように法律や手続きも姿を変えていきます。 当然、我々土地家屋調査士の業務も例外ではありません。

こうした変化を意識し続けなければ、事務所運営の舵取りを誤ることになります。土地家屋調査士は、測量技術の革新にのみ囚われても、あるいは登記手続きの知識のみに頼っても、時代の要請に応えられなくなると考えています。 これからの経営や運営には、昭和の経験則をなぞる延長線上とは、まったく異なる発想が必要です。


私自身の事務所においても、業務処理や運営面で改善・工夫の余地が多分に残されています。今年は、研究や研鑽の時間をより一層確保し、仕事のあり方を再構築する一年にしたいと考えています。


また、業界の後進の皆様への指導についても、これまで以上に講義内容を練り上げ、効果的な学びの場を提供してまいります。一流の土地家屋調査士を目指す方々を全力でサポートすることも、私の大切な使命です。


自らの進化を止めず、次世代を支える。 そんな一年にしていきたいと思います。

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。